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航空機の構造

aircraft structure

 航空機の構造は,機体に作用するさまざまな荷重に耐え,機体の外形を維持する役割を持つ.その構造は大きく分けて,胴体,主翼,尾翼,降着装置などから構成される.
胴体は乗員乗客や物資貨物などを搭載する部分であり,胴体外形を維持するフレーム,胴体に作用する曲げモーメントを分担する縦通材,曲げ,ねじりおよびせん断荷重を分担する外板から構成される構造が一般的である.これらの部材から構成される構造をセミモノコック構造と称する.航空機によっては,細い縦通材をたくさん並べる代わりに太いロンジロン(強力縦通材)を数本並べる場合もある.
主翼は航空機の飛行に必要な揚力を発生させる部分であり,翼の長手方向に延びるけた,縦通材,翼の断面形状を維持するリブ,外板から構成される.胴体同様セミモノコック構造をとることが多いが,グライダや軽飛行機の一部には,外板の代わりに羽布を張った構造をとるものもある.けたの本数によって,単けた,2本けた,3本けた,多けた構造があり,さらに縦通材を加えたマルチ・ストリンガ構造に区分される.前けたと後けたおよびその間の外板によって構成される部分をトルク・ボックスと称し,前けたより前の部分を前縁,後けたより後ろの部分を後縁と呼ぶ.トルク・ボックスは,主翼に作用する曲げ,せん断,ねじりに耐荷する重要な構造である.
さらに主翼には,機体を左右に傾けるための補助翼や,制動にも用いるスポイラなどの舵面,離着陸時に揚力を増加させるフラップやスラットなどの高揚力装置が付く.
尾翼の構造は主翼とほぼ同じと考えてよい.水平尾翼は水平安定板と昇降舵からなり,昇降舵を動かすことによって機体の運動方向を上下に変える.垂直尾翼は垂直安定板と方向舵からなり,方向舵を動かし,かつ補助翼を使って機体を傾けることにより,機体の運動方向を左右に変える.超音速機では,操縦性の面から昇降舵を使わずに水平尾翼全体を操舵し,これをスタビレータと称する.さらに補助翼のように左右別々に動かせるようにしたものをテイルロンと呼ぶ.
降着装置は地上での機体の支持や離着陸時の滑走に用い,脚の配置によって,前輪式,尾輪式,自転車式に分けられる.機体重心の直後に主脚,機首に前脚を配する方式を前輪式,機体重心の直前に主脚,尾部に尾輪を配する方式を尾輪式,胴体の前後に主脚を配する方式を自転車式と称する.離着陸時や地上走行における特性の良さから現在では前輪式が主流となっている.
航空機構造に用いられる材料は,鋼製の脚を除くとアルミニウム合金が主流であるが,一部チタン合金が用いられるほか,最近では樹脂を炭素繊維などで強化した複合材料の適用が増加している.

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20/1003873.txt · 最終更新: 2017/07/19 08:50 by 127.0.0.1