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陽解法

explicit method

 時刻tnの解がtn-1以前の量で表される時間積分法を陽解法という.有限差分法,有限要素法の時間項を陽解法である前進差分法を使用して積分する場合,時間項に関するマトリックスを対角マトリックスとして扱えば,連立一次方程式を解かずに時間積分が実施できる.差分法では時間項に関するマトリックスは自然に対角マトリックスになり,有限要素法では集中質量マトリックスを使用することにより対角化が可能である.一般に陽解法は,連立一次方程式を解く必要が無いため計算時間は短いが,安定に計算を進めるため,時間ステップの幅には制限が与えられる.一次元の拡散方程式\(\partial T/\partial t - \alpha {\partial ^2}T/\partial {x^2} = 0\)を時間に関して前進差分(添字n),空間に関して中間差分(添字j)をすると(forward time centered space, FTCS),式(1)が得られる.\[T_j^{n + 1} = sT_{j - 1}^n + \left( {1 - 2s} \right)T_j^n + sT_{j + 1}^n   (1)\]ただし,\(s = \alpha \it \Delta x/\it \Delta {t^2}\).式(1)で安定に解を求めるための条件はs≦0.5である.有限要素法による車両の大規模衝突解析では,シェル要素の質量マトリックスを対角化し,集中質量マトリックスとすることにより陽解法の採用を可能としている.

01/1013004.txt · 最終更新: 2023/02/17 11:26 by 127.0.0.1