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塑性崩壊

plastic collapse

 構造物,構造部材の弾塑性変形において,材料がひずみ硬化する場合,荷重増分と変形増分の関係は常に一義的に定まるが,非硬化材料では極限荷重(崩壊荷重)で両者の一対一対応が崩れる.この状態が塑性崩壊である.崩壊荷重は極限設計の際,基準値の一つとして用いられる.構造の崩壊荷重を求める際,微小変形を仮定する.崩壊時に構造中で,①平衡条件,②塑性条件,③変形機構条件,が満たされていることが必要である(塑性崩壊条件).極限解析を行うと,崩壊状態では変位(速度)場が不連続となる境界(塑性崩壊線)が存在し,この境界に沿って求めた合力が崩壊荷重を与える.ひずみ硬化材料でできている実構造の塑性崩壊を実験的に判定する方法として,その構造物に対して,実験で求めた荷重-変位曲線の初期の直線部のこう配角θから,2tanθのこう配を持つ直線と荷重変位曲線の交点の荷重を崩壊荷重とする方法がASMEにより定められている.これを2倍こう配法という.形状,荷重条件の簡単な構造では崩壊荷重が比較的容易に求められる.例えば,長方形断面はりの崩壊モーメントは降伏モーメントの1.5倍となる.したがって,この場合,崩壊モーメントをはりの断面係数で除して算出される弾性応力(塑性崩壊応力)は降伏応力の1.5倍になる.

07/1007460.txt · 最終更新: 2023/02/17 10:58 by 127.0.0.1