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流体力学

fluid dynamics, fluid mechanics, hydrodynamics

 流体の挙動を力学的に扱う学問.流体の挙動をモデル化したり実験により経験則を導き,実験的係数を用いて実用に供する学問は水力学と呼ばれ,18~19世紀に発展した.同時代には流体運動を微分方程式で記述する研究も行われ,粘性を無視したオイラー方程式(1755年)に基づいて理想流体の流れの解析解や渦運動に対する諸法則が導出され,20世紀初頭までは,いわゆる古典流体力学の全盛期であった.19世紀半ばに粘性を考慮したナビエ・ストークス方程式が導出されたが,解析解は特定の流れに限られた.1904年にプラントルが提唱した境界層理論は,実用的な水力学と解析的な古典流体力学のギャップを埋め,1960年代まで近代流体力学の主流になった.1970年代以降,電子計算機の発達に伴いナビエ・ストークス方程式の数値解法が研究され計算流体力学(数値流体力学)が発展した.流体力学の分野は広く,高速気体の流れを扱う空気力学,希薄気体の挙動を分子運動論で扱う希薄気体力学,ニュートンの粘性法則に従わない非ニュートン流体を扱うレオロジー(流動学),電離または解離状態にある高温気体の電磁場における流れを扱う電磁流体力学なども含まれる.固体粒子を含む流れや液体と気体が混合した混相流を扱う力学も重要な分野である.また,磁性流体や電気粘性流体など電磁場により流れが制御できる機能性流体や,血管や呼吸器など生体内の流体を扱う新しい分野も発展しつつある.

09/1013449.txt · 最終更新: 2017/07/19 08:49 by 127.0.0.1