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LSPI

Low Speed Pre-Ignition

 LSPI(Low Speed Pre-Ignition)とは低回転高負荷運転時に発生するプリイグニション(Pre-Ignition)であり,車両の発進加速向上のために低回転域の高トルク化が求められるガソリン直噴過給ダウンサイジングエンジンの開発で顕在化した技術課題の1つである.  
 従来から知られている自然吸気エンジンのエンドガスの自着火より遥かに大きい燃焼指圧を示すため,レシプロ系部品にダメージを与えるなど,高トルク化・部品軽量化に対して懸案となっている.
 ピストンクレビス部から燃焼室内に飛散する潤滑油と燃料が混合した液滴や,燃焼生成物であるデポジットが圧縮行程中に加熱し,スパークプラグで制御される点火時期より前に周囲の混合気の着火元となる事が主たる原因と考えられている.また潤滑油や燃料に含まれる添加剤なども複合要因として作用している.
 またLSPIに付随して起こるノッキングは,その圧力ピーク値が20-30MPaに達する事があり,スーパーノック(Super Knock)と呼ばれている.ピストン頂面の溶損には至らないが,ピストンTOPリング部に作用した場合,これを支えるピストン2ndランド部の機械的破損などを引き起こす.

11/3000025.txt · 最終更新: 2022/05/24 13:46 by jsme_kitajima