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マイクロマニピュレーション

Micromanipulation

 1mm以下の対象物を精密にマニピュレーションすること.顕微鏡視野内でマニピュレーションする場合が多いため,顕微操作,顕微手術の意味でも使用される.
 操作対象物が小さくなる程,慣性力,重力,電磁気力などの体積に比例する力(便箋的に「体積力」と呼ぶ)に比べて,粘性力,表面張力,静電気力,分子間力などの表面積に比例する力(便箋的に「表面力」と呼ぶ)が相対的に大きくなる.この体積力と表面力の大小関係の遷移領域は,通常,1mm~0.1mmの範囲にある.
 通常のマニピュレーションでは、グリッパを開放すると重力により対象物をリリースできるが,表面力が支配的な微小物では,グリッパに対象物が付着して取れなくなる問題Sticky Problemが生じるため,マイクロマニピュレーションでは,表面力を制御するための機能や操作を付与する必要がある.
 Sticky Problemは,大気中,真空中でのマイクロマニピュレーションにて頻繁に生じるが,水溶液中でのマイクロマニピュレーションでは,表面力が大気中,真空中よりも極端に小さくなるため*,マイクロマニピュレーションは通常容易になる.ただし操作対象物は,細胞,微生物,ゲルなどの柔軟物であることも多く,対象物を傷つけたり,潰さないように優しく操作する必要がある.
 水中でのマイクロマニピュレーションの応用例として,μTASにて細胞を搬送する技術,顕微鏡下での顕微授精,パッチクランプ,核移植,などが挙げられる.
 自然界の例では,1mm以下の微生物のほとんどが水溶液中を生活の場としているのは,*の理由により表面力による拘束を受けにくいためであると解釈できる.


 水の比誘電率は常温で80程度であるため,大気中に比べて静電気力は原理的に80分の1に減衰する,
 大気中では,固体-液体,固体-気体,液体-気体の3界面が存在するため,固体と液体間に液架橋力が生じるが,水溶液中では,固体-液体の1界面のみとなるため,液架橋力自体が作用しなくなる.
 物体間に流体(水溶液)が入り込むため,固体間の分子間力は小さくなる.

参考:
マニピュレーション
マイクロマニピュレータ

21/3000009.txt · 最終更新: 2022/05/24 13:04 by jsme_kitajima