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免疫

immunity

 免疫とは体内に侵入した異物(または外来でなくても異物と認識されたもの)をよそものとして排除する防御機構,つまり自己と非自己を識別する生体反応システムをさす.Bリンパ球(B細胞)が関与する液性免疫とTリンパ球(T細胞)が異物(抗原)に直接働きかける細胞性免疫とに分けられる.液性免疫では,異物を認識する役割は免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質(抗体)が行う.1度ハシカやチフスなどの病気にかかると2度とかからないのは,体内に抗体ができるため.抗体は4本のポリペプチド鎖が対になり,大きく開いたY字形をしている.Y字の2本の手の部分が個々の抗原に結合する部域であり,多様な抗原に対して複数個の遺伝子分節の組合せで対応できるようになっている.遺伝子分節は約500個もあるので充分の数の組合せの遺伝子が可能である.抗体を用いて免疫反応を起こさせ,有機物などの抗原の濃度を測るセンサを免疫センサという.細胞性免疫では,DTHエフェクタT細胞やキラーT細胞が主役を演じる.キラーT細胞は標的細胞上の抗原を認識して細胞を破壊する.以上のように,免疫は分子レベルで理解されようとしており,アレルギーなどの多くの難治性疾患が生体の免疫系の異常により生じることがわかってきた.そのため,免疫系をコントロールする新しい治療・診断システムのための科学(免疫工学)が提唱されるに至っている.