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重金属

heavy metal

 比重が比較的大きな金属(4.0から5.0以上).ヒ素,アンチモン,クロム,亜鉛,マンガン,鉄,カドミウム,コバルト,ニッケル,銅,鉛,水銀,白金などがある.工業の発展に伴い,工業原料として広く利用されるようになり,生産,流通,消費,廃棄の過程で生体への影響が問題になってきた.酵素中の-SH基と結合しやすく,また水銀,スズ,鉛などのように,有機化することによって毒性をますものもある.人間生活にかかわる重金属中毒には職業に起因して発生する産業中毒(鉛,水銀,クロム,マンガンなどによる中毒),大気,食品,飲料水,土壌などの一般環境の汚染に伴う環境中毒(水俣病,イタイイタイ病など),法医学上の中毒(ヒ素中毒ほか)などがある.1970年中ごろから,顔料などとして重金属類を使用するプラスチックや,水銀を使用する廃乾電池,廃蛍光ランプの処理が問題になり,現在でもこれらの分別収集を実施している自治体がある.その一方,カセイソーダの製法転換,アルカリマンガン乾電池の水銀ゼロ化などの有害重金属の代替化,減量化などが進んだものがある.生体影響には皮膚,眼,粘膜などの局所障害と肺,血液,神経などの全身障害がある.最近では悪性しゅようの発生と次世代への影響(突然変異,奇形および染色体異常の発生)が注目されている.特異的な治療剤にCa-EDTA,ペニシラミンなどのキレート剤があり,体外への排出促進が図られる.