流体中に任意の閉曲線Cをとり，閉曲線に沿う座標をs，閉曲線上における流体の速度のs方向成分をV_sとするとき，V_sを閉曲線に沿って積分した値\(\it \Gamma = \oint_c {{V_s}ds} \)を循環という．閉曲線Cの中を通る流体の流量が閉曲線内を通過する流線の総量に対応するのと同様に，循環は閉曲線内を通過する渦線の総量に対応する．したがって，渦無し流れ（非回転流れ）ではΓ＝0である．しかし，閉曲線内に物体がある場合，渦無し流れの循環は必ずしも０ではなく，これを物体の循環という．一様速度Uで流れる密度ρの理想流体の中に置かれた循環Γの物体にはUに垂直にL=ρUΓの揚力が作用する．これをクッタ・ジューコフスキーの定理といい，翼形などの流線形物体には実際にもよく近似できる．