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凝固

freezing,solidification

 固化ともいい,液体が固体になる現象.一定圧力下で液体を冷却すると,ある温度で原子が集合・配列化した固体の状態へと移行する.この温度を凝固点とよび,分子の回転運動の停止によって発生する熱量が凝固熱である.純物質では凝固点と融点は一致し,凝固熱と融解熱の大きさは等しい.液体に第二の成分が溶けていると,一般に凝固点は純物質に比べて低くなる.この現象は凝固点降下と呼ばれ,希薄溶液では溶けている化学種のモル温度に比例する.凝固は,凝固点以下の過冷却状態で開始することもあるが,純物質では固相と液相の界面が一定の凝固点温度に維持された,二領域のもとで進行する.二成分系では,凝固による溶質の排出を受入れる固液共存相が現れ,固相,固液共存相,液相の三領域で進行する.このような凝固では,物体内の熱伝導を介した冷却により凝固熱が緩慢に除去されるため,原子が高度に秩序化された固体が形成される.これとは別に,過冷却を積極的に利用することにより,多様なミクロ組織や非晶質の固体形成が可能であり,新素材の製造にはこのような急速冷却,あるいは急速凝固が用いられることが多い.