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2018/1 Vol.121

【表紙の絵】
「心ウキウキゆかいな
メロディーメーカー」
吉川 知里 さん(当時9 歳)

前にテレビで見た“日本の町工場で作られたネジや部品が世界で使われている”という話をきっかけに考えていた機械です。
ドアの開閉の力で歯車が動き、その時その気分にあった音楽が流れてきます。
朝は1 日を元気に過ごせるようなやる気の出る音楽、夜は1 日の疲れをとってくれる優しい音楽、
悲しいことがあった時は、なぐさめてくれます。
荷物やお手紙が届くとお知らせチャイムが流れます。

バックナンバー

特集 新たな価値創造のために ~女性活躍と多様性の推進~

女性技術者(リケジョ)の真の活躍に向けたJWEFの取り組み

弥富 洋子〔日本女性技術者フォーラム(JWEF)〕

日本女性技術者フォーラム(JWEF)とは

日本女性技術者フォーラム(JWEF)は、女性技術者相互の交流と情報交換により、その能力を発揮できる場を創成し、女性技術者の社会的貢献を高める目的で1992 年に創設、15 年以上続いている任意団体である。

設立当時から個人会員が中心となって活動を続けており、現在は個人会員、学生会員と法人会員にて組織され、女性技術者なら誰でも自発的に参加できるコミュニティとなっている。その結果、企業内でキャリアを重ねている会員、キャリアチェンジし新たな領域で活躍している会員、定年後もキャリア・経験を活かして社会に貢献し続けている会員など、さまざまな業種、年齢、キャリアの女性たちの集合体となっており、多様なロールモデルを提示できる団体になっている。また、SNS で人と人が繋がっている時代においても、会員同士が直接出会い、刺激を受け助け合うリアルな場を大事にしていることに存在意義があるのではと感じている。

◆ JWEF の目的◆
・女性技術者自身の能力を伸ばす
・能力を発揮できる職場環境、社会環境の実現
・女性技術者を増やすための社会貢献

持続可能な開発目標(SDGs)17 のうちJWEF が重点的に取り組む目標を下記五つとしている。

JWEF の主な活動

JWEF ならではの主な活動について紹介する。

JWEF 女性技術者に贈る奨励賞

女性技術者の活躍が社会発展に寄与することを奨励するため「JWEF 女性技術者に贈る奨励賞」を2009 年に創設、職場においてリーダーシップを発揮し活躍している若手女性技術者をロールモデルとして表彰している。仕事を遂行する上での行動・手法・成果が社会や会社の意識・風土の改革につながり、若手のロールモデルとなっている40 歳未満の女性技術者を対象としている。

毎年4 月から募集を開始し、秋には授賞式を開催しており、表1 が第1 回からの受賞者である(2015 年からは審査員特別賞も新たに設置。審査員判断で授与)。

 

表1 これまでの受賞者一覧

部会活動

会員有志で構成し、和気あいあいと目的をもって活動をしている。現在は、メンター部会、APNN 部会、産業技術勉強部会、関西部会、地方活性化部会、悠々部会の6 部会がある。

[メンター部会]
(1)メンタリングとロールモデルの提示
メンタリング活動の展開とロールモデルカフェでは、幅広い年代のロールモデル宝庫とも言えるJWEF 会員のリソースを活用し、緩やかな斜めの関係を複数構築し、学び合いの機会を提供している。少人数でじっくり話すことができるため、参加者の皆さんにとても好評な企画である。

 

ロールモデルカフェ・メンタリングサロン

 

(2)大学生・中高生へのキャリア教育の支援
毎年開催されている「女子中高生夏の学校」に参画するとともに、大学等の依頼を受け、ロールモデルの提供を行っている。また、学生会員はJWEF の活動に無料で参加することができる。

 

女子中高生夏の学校(2017 年8 月7 日)

 

[APNN(Asia Pacific Nation Network)部会]

JWEF は、特定非営利活動法人日本女性技術者科学者ネットワーク(JNWES)の団体会員となっており、その会員仲間である女性技術士の会および日本女性科学者の会、日立技魔女チームのメンバーとともにAPNNにおいて国際ネットワーク活動を行っている。

APNN はINWES (International Network of Women Engineers and Scientists) に属するアジアのサブネットワークであり、現在13 か国(日本、韓国、台湾、ベトナム、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリア、モンゴル、インド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、スリランカ)の女性技術者・科学者の団体がメンバーとなっている。

[産業技術勉強部会]

2015 年度、経済産業省と連携して産業技術動向勉強会を6 回シリーズで開催した。このシリーズは、「法人会員も参加しやすい」「会社にも言いやすい」「有意義」と好評であったため、部会を設立し、勉強会を継続することにした。

JWEF メンバーの産業技術分野に対する視野を広げることを目的に、最近注目される技術テーマを取り上げ、経済産業省と連携して、産業技術に関する勉強会を年3 回開催している。

[関西部会]

理工系女子学生と女性技術者が共に参加するワークショップをメンター部会と共催で2 回程度実施するとともに、学生会員の勧誘を行い、関西での活動力を盛り上げている。

[地方活性化部会]

首都圏、関西以外の地域の会員が相互交流できる場を設けることを検討、2018 年度は東海地区での支部設立の可能性を検討している。またWeb 上でのイベント配信にもチャレンジしている。

[悠々部会]

50 歳以上の会員でランチ会を行い、リタイア後のボランティア活動や趣味、健康、旅行などの情報交換を行っている。技術者ならではのボランティアや、リタイア後も新たな道にチャレンジしている会員の話は、ライフシフト・人生100年時代にふさわしい場となっている。

今後の取り組み

2017 年7 月現在、個人会員105 名、学生会員15 名、法人会員15 名という小さな団体ではあるが、1992 年の創設以来、リケジョの活躍を後押しする活動を進めている。今年度以降も会員へ情報提供していく。


 

弥富 洋子
◎日本女性技術者フォーラム(JWEF)運営委員長/

サントリーホールディングス(株) ヒューマンリソース
本部 人事部 ダイバーシティ推進室 室長

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