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2020/12 Vol.123

表紙の説明:これは、推力5tonターボファンエンジンFJR710形で、右からファン、圧縮機、燃焼器のケーシング部分である。1975年に通商産業省工業技術院の大型工業技術研究開発制度によって開発された。ブラッシュアップしたエンジンは、短距離離着陸ジェット機(STOL)飛鳥に4基搭載され500mで離着陸できた。
[日本工業大学工業技術博物館]

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2020年度「学会横断テーマ」

④未来を担う技術人材の育成

人材育成の変貌

米百俵の故事を持ち出すまでもなく、人材育成はどんな時代においても最重要な課題である。SDGsやSociety5.0によって新たな持続可能社会を志向している現在、人材育成に対する要求は一層その重要性を増している。明治時代以降、技術・工学に関する人材育成は高等専門学校、大学、大学院などが主に担ってきたが、科学技術の急速な進歩やシステム志向の高まりとともに、従来型の教育体系・修業年限では技術者に求められる能力やスキルの全体をカバーできなくなっている。したがって、技術者は生涯にわたって自己啓発し、新たな技術分野の学修を続け、自らの能力を継続的に向上して行かなければならなくなったと言えよう。また、もの作りがブラックボックス化し、子供がもの作りに触れる機会が減ったため、子供たち(小学生から高校生)は技術・工学への興味を抱きにくくなっている。より多くの優れた人材を育成していくためには、子供たちに対するケアも必要である。

以上のような人材育成の変貌を踏まえると、大学だけ、企業だけの閉じた形で人材育成を行うことは最早不可能であろう。これからは、大学、企業、学会(場合によっては小中高も)が連携し、総合的かつ広い視野に立って人材育成に取り組んでいく必要がある。

活動概要

本活動は、新たに編成された特別チームではなく、2019年4月に発足した人材育成・活躍支援委員会により、下記の実現に向けて精力的な検討を進めているところである。

(1)社会への提言(人材育成、技術者の地位向上):小中学生の理科(特にもの作り)離れ、高校生・大学生に対する工学系キャリア情報の不足、高大・大社接続教育、若手・女性技術者・研究者のキャリア支援、機械技術者の学び直し教育、シニアの初中等教育への貢献など計22の課題を抽出した。今後、社会に向けた提言を順次行い、技術者や一般社会への啓発を行っていく。

(2)インターンシップの学会枠設置:多くのインターンシップが単なる会社説明会になってしまっている状況を改善し、長期インターンシップの活性化とともに、学会がインターンシップ希望の学生員を特別員企業に推薦する制度を設ける。今年度は、インターンシップに関する企業アンケートを実施し、新制度の実現性を確認した。

(3)子供たちの関心を引くキャリアパスの作成:小中高校生に向けて、機械工学のキャリア像を知ってもらうためのキャリアマップを作成し、学会ホームページなどで掲載、周知を図っていく。特に、高校生が進路を選択する際に指標となり、イメージをつかみやすいマップについて検討中である。

(4)年次大会での啓発活動:特別企画を毎年実施しており(本年度は「SDGsが目指す社会と新たな教育」)、学会員に対する啓発活動を今後も継続的に実施していく。

(5)技術相談窓口の整備:経済産業省からの支援を受けて、企業などからの技術相談をこれまで実施してきたが、周知が十分でなく、有効に利用してもらえなかった。より利用しやすい技術相談制度に衣替えしていく。

(6)講習会のパッケージ化・出前講習会:本会では年間400件を越える講習会が開催されている。複数の講習会・セミナーをまとめてパッケージ化し、また欠落している分野に関しては新たな講習会を立ち上げるなどして、機械技術者あるいは特別員が利用しやすい教育システムを構築すべく検討を進めている。現時点では、基礎講座(4力学コース、設計技術コース、生産技術コース)、応用講座(計算力学コース)などの来年度からの立ち上げを検討しており、順次、コースを拡充していく予定である。

(7)テスト問題バンクの普及:機械系大学卒業人材の質保証のため、国立教育政策研究所の主導により進められている「テスト問題バンク」の活用について検討している。

(8)小中高校生向け企画:小中学生の理科・もの作り離れを防ぐため、またジュニア会友へのサービス向上の一環として、年間を通して「もの作り」に触れる機会(年4~5回)を提供すべく、関東支部シニア会のご協力のもと、「エンジニア塾(仮称)」を来年度から開催する方向で検討を進めている。

皆様へのお願い

以上、簡単に現時点での活動・検討状況を報告しましたが、いずれの活動も会員諸氏のご支援が必要であり、人材育成・活躍支援委員会を通じて、今後一層のご協力をお願いする次第です。何卒、よろしくお願い申し上げます。


テーマリーダー
<フェロー>
山本 誠
◎東京理科大学 工学部機械工学科 教授
◎専門:数値流体工学

 

 

企画チームメンバー
川島 豪(神奈川工科大学)、岸本 喜久雄(東京工業大学)、小林 正生(IHI)、小西 義昭(KoPEL 小西技術ラボ)、齊藤 修(IHI)、笹谷 英顕(ささけん技術事務所)、城野 政弘(大阪大学)、鈴木 宏昌(東京都立産業技術高等専門学校)、中山 良一(工学院大学)、長谷川 浩志(芝浦工業大学)、本阿弥 眞治(東京理科大学)、横野 泰之(東京大学)、オブザーバー: 村上 俊明

 

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