和文学術誌目次
日本機械学会論文集 掲載論文 Vol.91, No.941, 2025
公開日:2025年1月25日
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/transjsme/91/941/_contents/-char/ja
<材料力学、機械材料、材料加工>
2.25Cr-1Mo-V鋼石油精製圧力容器の供用中の水素助長割れ抵抗評価試験
安富 章忠、本間 祐太、大畑 充
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00207
石油精製圧力容器の材料として2.25Cr-1Mo-V鋼が使用されるようになってから約25年になるが、最低加圧温度(MPT)の解析に対応するための特性評価試験が明確にされていない.そこで,容器運転の各ステージにおける水素助長割れ(HAC)の影響因子(温度、応力、拡散性水素濃度)を模擬付与する試験法と条件を検討し、評価対象とする特性をHAC発生の下限界応力拡大係数KIHとして、実機の周溶接継手を模擬した溶接試験板を用いたHAC抵抗評価試験を実施した.その結果,供用中のHAC発生を防止するためのMPTを、スタートアップ条件下での水素環境助長割れ抵抗評価試験により評価できることがわかった。
<流体工学、流体機械>
磁気溶液堆積法における粒子投与段階化アルゴリズム開発による最大面積分率点の明確化
永嶒 友貴、早坂 良、大村 高弘
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00160
磁性微粒子を液体中で効果的に沈降させることで薄膜を生成する磁気溶液堆積法によって得られる最大面積分率点を、粒子のクラスタの状態に応じて粒子投与の実行是非を判断する段階化アルゴリズムを開発することで明らかにした。印加磁場の強さを大きくすると、液体の温度が低くても最大面積分率点が上昇し、さらにランダム力を大きくすれば、最大面積分率点が0.243以上の条件数が向上することがわかった.最大面積分率が得られるための条件は、粒子の質量密度が高く、印加磁場がより強く、ランダム力もある程度大きく、粒子間磁気力は最小よりも若干大きくしたときである。結果として、磁気溶液堆積法によって得られる最大面積分率点は0.322になった。
回転式攪拌装置を用いた非接触分散評価に関する研究
堀江 昌朗、糊田 脩、生抜 卓也、杉本 博司
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00168
密封容器を用いた回転式撹拌装置は容器内部の材料を開封することなく、撹拌できる装置である。しかし、この装置を使用する際には密封容器を使用するため、混ざり具合を確かめるにはサンプルを取り出す必要があり手間がかかる。そこで本研究では,透明のガラス容器内に試料と蛍光粒子を混入し、容器壁面に表れる蛍光粒子の分布から攪拌状態の評価を行う非接触分散評価方法を提案した。この分散評価方法はサンプルを取り出す直接評価とほぼ同じ結果を得られた。また、この非接触の評価方法を適応し、粉体の充填率と回転速度の違いが攪拌時間に及ぼす影響を明らかにした。
直接数値シミュレーションによるRanque-Hilsch効果と円筒渦室内の高速旋回流に生じる乱流の関連性の検討
山本 泰平、服部 裕司
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00193
Ranque-Hilsch効果(RH効果)は、圧縮された気体が円管内で高速な旋回流を形成して温風と冷風に分離する現象であり、 そのエネルギー分離メカニズムは未解明である。旋回流の非定常性がRH効果を引き起こす可能性が示唆されているが、 物理的信頼性が十分な時間発展データの取得は難しく、関連は明らかにされていない。本論文では、 RHVT内の非定常な高速旋回流について初めて直接数値シミュレーションを実施した。円管内の乱流強度は軸対称で、流入側の強度が高い。 また、乱流強度の増大に伴い温風と冷風の全温度差が増大することから、乱流はエネルギー分離効果と関連性をもつことが分かった。
圧力勾配を用いたON-OFF制御による円柱後方のカルマン渦抑制
石川 雄翔、本田 逸郎、佐藤 孝雄
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00168
物体周りの流れ場で発生するカルマン渦は我々の身近なところで様々な悪影響を及ぼす。そのため、カルマン渦抑制に関する研究として流れ場の制御が行われてきた。近年、流体解析技術や計算機の発達によって高度な流れ場の制御が可能となり、中でもフィードバック制御を用いた流れ場の制御が注目されている。モデル予測制御を用いた先行研究では未来の応答を予測しながら繰り返し計算を行うため、計算コストが莫大であるといったデメリットがある。また、流速をフィードバックして制御を行う先行研究では物体後方の流速を検知しているため、流速検知時と制御時にタイムラグが生じ、渦を完全に抑制することができない。そのため、従来法は規則的な渦が発生する流れ場でしか適用できず、非実用的な手法であると考えられる。これらの問題を解決するために、本研究でははく離点付近の物体表面の圧力勾配をフィードバックすることで、流体がはく離した瞬間に制御を行い、渦の発生を未然に防ぐ手法を提案する。圧力勾配を用いることで、その符号によってはく離の検知をリアルタイムで行うことができるため、渦の発生状況に応じた制御が可能となり、渦が不規則に発生する流れ場でも対応が可能であると考えられる。本報告では高レイノルズ数流れ場で制御を行うための基礎研究として、提案法の有効性を確認するため、円柱周りの低レイノルズ数流れ場を対象に制御を行った結果を報告する。数値計算結果から提案法によって低レイノルズ数流れ場から高レイノルズ数流れ場で発生するカルマン渦を効果的に抑制することができ、本研究の有効性を確認することができた。
<熱工学、内燃機関、動力エネルギーシステム>
三次元積層造形技術を活用した小型熱交換器の開発(ブロック式小型熱交換器の凝縮伝熱流動特性評価)
千葉 皓太、岩城 智香子、佐藤 正幸、片山 義紀、椎原 克典、荒木 翔太、中野 秀士、田中 徹
https://doi.org/10.1299/transjsme.23-00310
三次元積層造形技術を活用した小型熱交換器開発の一環として、マルチチャンネル熱交換部を有するブロック式熱交換器における凝縮伝熱流動特性を実験的に評価した。本研究では粉末床溶融結合方式の金属3Dプリンタにより製作した熱交換部の流路形状が異なる3種類の試験体を用いた。凝縮伝熱流動特性試験結果を評価したところ、熱交換部の流路を微細化し、流路を千鳥配置とすることにより、熱交換量を飛躍的に向上できることを確認した。また既往の伝熱相関式をベースに、小型熱交換器の凝縮熱伝達率に関する検討を行った。
<機械力学、計測、自動制御、ロボティクス、メカトロニクス>
人と機械の運動ずれを考慮した膝パワーアシストのための領域アトラクタに基づくAssist-as-Needed制御
舛屋 賢、井手 祐太、岡田 昌史
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00194
本論文では、膝関節のパワーアシストのための、人と装具の運動ずれを考慮したAAN(Assist-as-needed)制御を提案する。AAN制御は装着者の能力に応じてアシスト性能を調整する制御方法の一つであり、装着者が所望のタイミングで動作できるように時間拘束のない制御系として設計されることが多い。しかし、これまでの多くの研究では装具の動作速度を能動的に変化させることは行われていなかった。本論文では、この問題を解決するために、装具の動作速度を変化させる領域アトラクタに基づくAAN制御を提案する。人間の膝を模擬したダミーロボットを用いた実験により、提案方法の有効性を検証した。
全身張力接続を備えた準受動歩行機の数理モデルの構築
西井 尋紀、角田 祐輔、石原 尚、和田 光代、大須賀 公一
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00205
人体にはAnatomy Train(AT)と呼ばれる全身の粘弾性接続がある。本論文ではATの1つ、superficial back line(SBL)をモデルにした張力伝達ラインを従来の受動歩行機の数理モデルに導入し、SBLの動特性と歩数の関係性を数値的に調査した。その結果、バネ定数と張力発揮機能の有効タイミングの特定の組み合わせによって歩数が増加することが示された。この結果は、歩数と体勢の崩れ方に基づいたSBLのチューニング法を示唆するものである。また、本数理モデルを用いたシミュレーションと実ロボットを用いた実験を相互参照することにより、将来的に理論解析への発展が期待される。
<計算力学>
モンテカルロ法による線形パラメータ変動熱伝導モデルの低次元化とモデル次数決定方法
宮本 明靖
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00089
デジタルツイン技術は、デジタルトランスフォーメーションに有効な手法の一つである。これの導入期間短縮には、低計算コストで高精度なモデルを短期間で構築する必要がある。しかし、機器の使用・環境条件が変動する場合、モデル検証に多大な時間を要する。本研究では、境界条件が変動する場合でも適用可能な低次元化手法とモデル精度評価手法を開発した。低次元化手法には、クリロフ部分空間法により得られた射影行列を特異値分解し、次数を削減した。精度評価手法では、ランダムに生成した境界条件で応答を計算し、モデルの誤差を評価する手法を開発した。本手法を熱伝達率が変動する熱伝導モデルに適用し、解析精度と計算時間が両立可能なことを確認した。
能動的機械学習とハイスループット第一原理計算によるデータ駆動型非線形強誘電物性のひずみ最適化
見波 将、丸山 泰明、阿部 能将、仲山 智裕、嶋田 隆広
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00184
ひずみエンジニアリングは、機械的なひずみ負荷を適用し様々な材料物性を最適化する手法であり、エンジニアリング分野における重要なアプローチの一つである。本研究では機械学習,能動学習,および高スループット第一原理計算を組み合わせ、広大なひずみ空間における効率的な物性予測を可能にする技術的枠組みを構築した。本研究では垂直3成分のひずみに対する機械学習圧電構成モデルを構築し、PbTiO3における非線形機械的変形と電気機械的応答を効率的かつ高精度に予測できることを示した。また、構築した機械学習モデルを用い圧電応答のひずみ最適化を実行し、無負荷時と比較し最大5倍の圧電係数が得られることを明らかにした。
大変形マルチマテリアルトポロジー最適化によるエネルギー吸収構造の設計
渡邉 大貴、下田 昌利
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00206
マルチマテリアルトポロジー最適化は、異なる機械的特性を持つ複数の固体材料の合理的な配置を、計算によって導くことができる有望な技術である。本研究では、構造のエネルギー吸収性能を最大化するためのマルチマテリアルトポロジー最適化手法を提案する。一定の変位とそれに対応した反力の内積をとった外力仕事を目的関数とし、それを最大化するような最適化問題を設定する。また、本研究では新たに非線形有限要素法の増分解析に円弧長制御法を採用することで、最適化計算途中で生じる極端な非線形挙動にも対応可能とした。提案手法の妥当性および有効性は、いくつかの数値例を通して示される。
<設計、機素・潤滑、情報・知能、製造、システム>
化粧品製造プロセスにおける粉体の飛散防止を目的としたブレードレス集塵システムの開発
鶴田 奈々、箱田 倫大、矢野 賢一、長光 陽平、平山 良之
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00102
化粧品の製造工程では、薬液に粉体を投入する際に粉塵が発生する。この粉塵の発生は作業者の健康的安全面に悪影響を及ぼすため、大型の集塵装置を用いた対策が行われている。しかしながら、従来の集塵方法では吸引した粉塵は廃棄せざるを得ないため、製品品質にばらつきが生じてしまう。そこで本研究では、空気の流れによって粉体粒子に働く力を明らかにし、製品品質のばらつきを低減可能とするブレードレス集塵システムを開発した。実際の化粧品製造工程で実験を行ったところ、粉塵量の低減を実現し、生産効率の向上も可能であることを示した。本研究成果が実用化されれば、作業者の安全を維持し、高効率での生産が可能となる。
生産システムシミュレーションにおけるデータ駆動型マルチスケールモデリング手法に関する研究(フローショップ生産システムを対象としたモデル構造整理とモデル同定)
永原 聡士、貝原 俊也、藤井 信忠、國領 大介
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00107
多品種混流などの複雑な生産システムを効率的に運用するためには生産シミュレーションの活用が有効であるが、高精度なシミュレーションモデルの構築には多大な労力を要する。本研究では、演繹的なモデルと機械学習モデルを組合せて、対象システムから得られるデータから高精度なモデル構造を導出するデータ駆動型マルチスケールモデリングを提案する。本稿では、フローショップ生産システムを対象に、取り得るモデル構造を整理した上でモデル同定方法を提案するとともに、仮想的なシステムを対象とした計算機実験を通して、システムから取得可能な情報やシステム・モデルの複雑さによって最適なモデル構造が変化することを示す。
保全事業マルチエージェントシミュレーションによる風車予兆診断の効果推定
渡部 潤也、河野 敏明
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00143
保全サービス事業ではIoTソリューション導入が期待されているが、事業全体に与える定量的効果の推定は容易でない。本研究では、保全事業のマルチエージェントモデリングを用いて、ソリューションの改善効果を定量評価する手法を提案する。有効性検証のため、風車設備の派遣型保全サービスを対象に、予兆診断導入前後の状況をシミュレーションで比較した。提案手法では、設備故障状態に加えて、保全員作業状態までモデル化することで、予兆診断導入に伴うリソースひっ迫を再現し、稼働率悪化のリスクを予見できることを示した。また、定期点検省略との組み合わせによる相乗効果など、多様な施策を組み合わせた複合効果を評価できる。
<設計、機素・潤滑、情報・知能、製造、システム>
曲面上の微小欠陥の自動光学検査
加納 宏弥、大野 博司、岡野 英明
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00145
製造工程における製品の外観検査の自動化が求められているが、曲面上に存在する、10µmオーダー以下の高低差を持つ微小な凹凸は、従来の撮像技術では捉えることが難しい。そこで本研究では、対象物の位置に応じて入射方向が異なる照明光を照射し、対象物からの反射光をカラーフィルター越しに撮像することで、微小な凹凸による傾斜角度変化を画像の色の変化として捉えることができる光学系を提案する。さらに、画像の色から微小な凹凸を検出する画像処理手法を構築した。本手法によって曲面上に存在する深さ40µmのへこみを自動で検出することができたので報告する。
<設計、機素・潤滑、情報・知能、製造、システム>
剛性行列の固有値分解を利用した自動車車体の静剛性向上手法の検討
里村 彰、古屋 耕平、丸山 新一、西脇 眞二
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00169
自動車車体の効率的な設計には、目標を満足する構造を短時間で導出する手法の確立が重要である。相互平均コンプライアンス(外力作用点以外の変位を含む変位の重み和)の設計問題を考える場合、相互平均コンプライアンスはひずみエネルギと比例せず、設計感度は変位形状を伴わないスカラー量であるため、設計変更する部位や必要な剛性の種類を決めることが難しい。そのため、設計者が反復的な設計変更を行う従来の手法で検討する場合は多くの時間を要する。本論文では、剛性行列を固有値分解して得られる固有値と固有モードと相互平均コンプライアンスとの関係を明らかにし、相互平均コンプライアンスの設計問題を剛性行列の固有値の設計問題に置き換えることで、設計者が効率的に設計を変更できることを示す。
トポロジー最適化に対する随伴変数法と自動微分を組み合わせた静的弾性体の任意関数の感度解析
小川 竣、米倉 一男、鈴木 克幸
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00225
本研究では、トポロジー最適化における静的線形弾性体の感度解析を一般化と計算コストを削減する方法論を提案する。随伴変数法と自動微分と組み合わせた感度解析の適用によって、静的弾性体の評価関数やトポロジー最適化における設計変数による材料物性の内挿手法に依存せずに設計感度を計算できる。さらに、一部に随伴変数法を用いることで、自動微分に必要な膨大な計算メモリの問題を解決する。提案手法の汎用性を実証するために、等方性線形弾性系のマルチマテリアルトポロジー最適化を対象に、コンプライアンスとLpノルムに基づく最大応力評価関数を考慮する。さらに、マルチマテリアル問題における材料特性の内挿方法として、拡張SIMP法とDiscrete Material Optimization (DMO)法を扱った。最後に、有限差分法と自動微分をベンチマークと使用し、提案手法の感度解析における精度、計算コスト、計算メモリ量の観点から評価する。さらに、大規模な解析への提案手法の適用性を示すために、3次元問題に対するトポロジー最適化の例を示す。
<生体工学、医工学、スポーツ工学、人間工学>
台車を押す動作の筋張力解析 (押し始め動作の検討)
小林 義和、本合 隼人、三國 優斗、齊藤亜由子、木澤悟、宮脇和人
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00235
工場などの生産現場における安全作業について近年、死傷者数は減少しているが、負傷者数は増加傾向にある。本研究では、工場作業の1つとして台車の押し始め動作を筋骨格モデル解析を用いて調べることとした。10名の健康な男子被験者について、おもりなし、100kgのおもりを載せた場合の台車の押し始め動作について、三次元動作解析装置、2枚の床反力計を用いて身体座標データ、床反力データを取得し、筋骨格モデル解析ソフトOpenSimを用いて下肢関節角度、下肢関節モーメント、下肢筋張力、腰部筋張力を評価した。腰部側屈モーメント、腰部回旋モーメントの振幅が有意に高値となった。左足の大臀筋、前脛骨筋の筋張力の最大値が有意に高値となり、大腿直筋の積分値が有意に高値となった。外腹斜筋(右)の最大値、積分値が有意に高値となった。100kgのおもりをのせた台車を動かすには、股関節、膝関節を伸展させる筋、足関節を背屈させる筋、外腹斜筋(右)についてより大きな力が必要となることがわかった。
<交通・物流>
速度発電機を応用した線路上の異常検知に関する検討
吉川 岳
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00153
鉄道車両の輪軸端には速度発電機が設けられ、その出力信号の周波数から回転速度が算出されている。一方、同信号の振幅はセンサと軸端歯車のギャップに関する情報を含み、さらにこのギャップは台車枠に対する輪軸の左右偏倚の情報を含む。そこで速度発電機出力信号の振幅波形に注目することで、普段と異なる輪軸挙動や、輪軸への衝撃、ひいてはそれらを引き起こした線路内異常を検知できることを示す。軸箱に振動加速度センサを設置するなどの従来案に対し、本手法は新規センサを導入する必要がないため、実用化に伴うさまざまな問題の回避が可能となるメリットを有する。
レール応力に影響を及ぼす浮きまくらぎやレール凹凸の発生状態に着目した経年レールの疲労寿命評価
細田 充、髙𫞎 信貴、弟子丸 将
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00154
本研究では、鉄道の経年レールの疲労寿命に影響すると考えられる浮きまくらぎや頭頂面凹凸に着目し、営業線における発生状況について統計的に分析した。また、大きな浮きまくらぎや頭頂面凹凸が発生している場合の経年レールの疲労試験を行い、経年レールの疲労特性に関するデータを取得するとともに、浮きまくらぎや頭頂面凹凸の発生確率および経年レールの疲労強度のばらつきを考慮したレールの保守管理における安全性の定量的な評価方法およびレールの長期使用に関する管理値について提案した。
模型走行装置を用いた鉄道台車周囲の着雪評価手法
高見 創、新木 悠斗
https://doi.org/10.1299/transjsme.24-00181
模型走行装置を新たに製作し、鉄道台車周囲の着雪状態を比較的容易に評価する手法を開発した。模型走行装置は縮尺1/11の列車模型を最高120km/hで安定して走行させることが可能で、模擬雪を軌道内に堆積させることで列車走行による着雪現象を実験的に再現した。台車下流の着雪状態を実車と模型実験で比較した結果、新幹線中間車における着雪分布の一般的な特徴が再現できることを確認した。また、積雪区間の走行距離による着雪の成長過程を模型実験から明らかにした。
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表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)