会長挨拶
会長退任のご挨拶
今期を振り返って

2024年度(第102期)会長 山本 誠
今期はコロナ禍の影響を完全に脱することができたため、本会の事業規模が概ねコロナ禍前の水準に戻りました。愛媛大学で開催された年次大会では、講演数が1,000件超、参加者数が2,200名といずれも増加し、対面の懇親会も復活して事業形態の面でも完全復帰が果たされました。一方、オンラインを活用した講習会や委員会が一般的となり、各種事業の効率化・活性化が実現しており、学会全体で約17億円の次年度繰越金を抱えるに至っています。しかし、残念ながら、今期も会員数の減少に歯止めを掛けることはできませんでした。機械技術者にとって、特に若手の人たちにとって、本会の価値が十分理解されていないこと、より多くの会員を呼び込む積極的な情報発信の必要なことを痛感しています。
さて、今期は、重点方針として、(1)会員サービスの拡充による本会価値向上と会員の活躍支援、(2)分野横断による学術活動の更なる活性化、(3)創立130周年に向けた本会の体質強靭化、を掲げ、理事・職員の皆さまとともに、機械工学の振興や本会の更なる活性化・発展に向けてさまざまな施策について検討しました。(1)会員サービスの拡充では、これまで陽が当たることの少なかった中小企業を顕彰するイノベーション表彰および研究開発職以外の機械技術者を顕彰する優秀技術者表彰の新設、学会誌の魅力向上や学術誌の活性化に向けた検討、若手の会の活性化支援、部門・支部ホームページや講演会登録システムの共通化、技術教育企画小委員会の設置による部門・支部の講習会・セミナー情報の集約・一元化、出版物の電子化やサブスクリプション化による利便性の向上の検討などに取り組みました。(2)学術活動の活性化では、新たな分野連携分科会の設置、2件の新たな学会横断テーマの開始などのほか、ビジネス交流会や機械関連工業会・協会との連携企画の導入などにより、年次大会を(極端に言えば)学生発表会から大人の会への衣替えすることについて議論を重ねました。(3)体質強靭化では、代表会員選挙を信任投票制とすることによる候補者を選びやすく・投票しやすい選挙への変更、情報技術の進歩に伴って機械技術が大きく変化しているにも関わらず20年来更新が行われていなかった機械工学便覧の改訂着手、機械遺産事業をこれまでの現存するモノ中心から機械工学発展史の中でエポックメーキングなモノや図書も選定していく方針に変更、会員が自由に意見表明・情報発信できる制度として従来の提言を見直し、提言・見解・報告の3カテゴリーの新設などが検討されました。すべての検討項目が直ちに実現するのは難しいと思いますが(一部の施策は実現済です)、考えられる範囲であらゆる方面に改革の種子を蒔きましたので、将来無事に成長して豊かな実りが得られることを期待しています。
最後に、前述の通り本会は多額の次年度繰越金を抱えています。これまでは単年度黒字予算の縛りが非常に厳格で赤字予算を組むことができませんでしたが、赤字予算を組んで繰越金を積極的に使わなければ繰越金が増える一方なのは自明でしょう(ある意味、死に金です)。2月の第6回理事会において、「長期的に収支のバランスが取れていれば単年度赤字予算の策定は問題ない」との共通認識が得られましたので、部門・支部でも将来に向けた新規事業の立ち上げや講演会の活性化に繰越金を積極的に使っていただければと思います。
会員の皆様には、機械工学の振興、機械技術者の地位向上と本会の更なる発展に向けて今後実施に移されるさまざまな施策へのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
キーワード:会長挨拶
表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)