特集 Additive Manufacturing 技術の動向と技術者の意識
生産システムにおけるAM複合加工機とデジタルデータの活用
実用的生産システムの一要素としてのAM技術
筆者が最初にAdditive Manufacturing(AM、積層造形技術)に触れたのは2000年代前半で、それまで機械加工により作成していたさまざまな部品の設計がAMの活用により高度化できると期待した。当時は選べる材料が少なく造形品の精度も強度も低かったが、既に医療分野などへの応用も提案されていた。その後樹脂はもとより金属に対してもAMが広く普及し、多くの造形方式の提案から開発・実用化がなされ、また筆者の興味の対象である部品設計への応用についてもDfAM(Design for AM)が提案され、AMの強みを生かした設計方法が論じられるようになっている。その一方で、生産現場への効率的な導入については、さまざまな提案が主に研究分野でなされている段階である。AMと従来の生産技術、特に切削加工や研削加工のような除去加工との組み合わせで複合的な生産システムを構築することは比較的導入としては発想が容易である。例えば、AMにより金型を作成することは、この15年ほどで実用化にむけた技術開発が進み、積層造形の特徴を生かした効率的な冷却機能を持つ金型が実生産に供されてきている。一般にAMで造形される部品の寸法・形状精度は従来型の除去加工と比較して数桁低いため、AMにより基本形状を造形した後に除去加工による仕上げを行うプロセスはある意味、従来加工技術との複合的な利用と考えられる。
鋳造や塑性加工で成形された部品の最終仕上げとして切削・研削加工が用いられることが多いが、これらの組み合わせと比較するとAMによる造形では生産能率が低い。このことから前加工として金型レスで造形をおこなうAMを利用しようとすると造形速度の向上が重要であり、加工部品の品質・精度向上と合わせて生産能率の向上のための装置開発も盛んである。金属AMの造形方式として広く用いられているPowder Bed Fusion(PBF)と、Directed Energy(DED)の一部はレーザや電子ビームによる金属粉末の溶融・凝固が基本であり、この物理プロセス自体の劇的な速度向上は困難である。したがってレーザを高出力化することにより走査速度も上げることで時間当たりの入熱量を増やす方向で開発が進められる。また、積層する各層に配置される複数のパーツや造形部分についてできるだけ多く同時に造形できるようレーザの搭載本数も増加されてきている。表1にいくつかのメーカのPBF造形機に搭載されているレーザ発振器の出力と本数を示すが、現状すでに1kW以上のレーザを10本以上搭載するものが上市されており、表中の機種 #2は最大造形速度が1,000cm3/hに達する。生産能率の向上への直結が直ちに期待できる一方、顧客へのわかりやすいアピールにもなる方法であると言える。
表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)