特集 Additive Manufacturing 技術の動向と技術者の意識
AMに関するソフトウェア(設計・解析関連)の動向
AMとソフトウェア
AMを活用する場合、ソフトウェアが持つ役割は極めて大きい。まず、造形物の三次元形状データであるSTLファイルの作成には一般的に3DCADが用いられる。また、AMでは従来の加工法では製造が難しかった複雑形状も造形可能であるが、AMには従来の加工法に比べ造形時間が著しく遅く、その活用には高い製造自由度を活かした付加価値の高い部品の設計を行う必要がある。テーラーメイドで特定の対象に特化した設計を行うか、もしくは量産するのであれば、時間的なデメリットに勝るほどの性能的メリットを与える必要がある。このような高度な設計にはCAEが不可欠である。
さらには、AMはオーバーヒーティングや残留応力による造形物の大きな変形や破壊という造形中トラブルの可能性も高く、その予測のためのCAEも近年盛んに開発されている。そこで本記事では、AM造形物の設計・解析に関連するソフトウェアについて、筆者が分析する動向を述べた後に、利点や欠点、そして今後の展望について議論したい。
AMと3DCAD
筆者が利用したことのあるAMの造形モデル作成ツールとしての無償3DCADは、 2009年頃に登場したAutodesk社の123D Designである(1)。筆者が知ったきっかけは、2014年にDMM社がDMM.MakeというAM造形サービスを開始しており(2)、そこでSTLファイルの作成ツールとして紹介されていたためである。当時123D DesignとDMM Makeを活用し、大学一年生向けにAMを体験するゼミ形式の授業を行っていたが、商用3DCADに比べれば操作感が劣るものの、きちんと3DCADとして成立していることに感心した記憶がある。その後は2013年に同社のAutodesk Fusion(当時はFusion 360)が登場し、現在では非営利限定の無料3DCADとしてその地位を確立している(3)。FusionはSolid WorksなどのミッドレンジCAD相当の機能を持ち、これが無償で使用できるのは筆者が学生であった20数年前では考えられないことである。本来企業における設計業務に用いられるツールである3DCADが、一般の非営利活動で用いられるまでにカジュアル化したのはAM技術の普及が大きく影響したと考えられ、工学の発展への寄与も大きい。
表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。
デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)