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2026/2 Vol.129

装置製作:高山芳の
(多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻 統合デザイン領域 在籍)
金属・磁石・モーターなどの単純なメカニズムを用いた装置は、重力や摩擦を受け入れながら、ある行為を繰り返します。その姿は、私たちが呼吸し、脈を打ちながら生きていることを思い出させます。本誌では、学部の卒業制作である 10 体の装置〈脈拍〉を中心に、全 12 体の作品を紹介します。

バックナンバー

多様性なき機械工学に未来はあるか

第1回 ダイバーシティとインクルージョンの捉え方 科学技術分野における実装と今後の展望

原山 優子(NICT GPAI 東京専門家支援センター)

はじめに

日本においてD&I (Diversity and Inclusion)が社会的価値を表現するキーワードとして使われるようになって十数年が経過した。世界の潮流に押されつつ、2000年代後半に、イノベーション促進の視点から、既存の枠組みに囚われることなく新たな発想を生み出す仕掛けの一つとしてダイバーシティの重要性が謳われるようになり、さらに多様性を活かすためのアプローチとしてインクルージョンの考え方が加わり、D&Iという表現に至った。人材マネジメント、組織運営、さらには経営戦略として具体的な方針が打ち出され、実装されつつあり、D&Iは推進すべき価値として社会全体に受け入れられるようになってきた。

そうした中、2025年のトランプ政権の誕生とともに、平等性(Equity)も含む、DEI推進は逆差別とする大統領令(1)が発令された。国内においては法的拘束力を持ち、さまざまな施策に反映されることとなるが、米国の企業、大学、研究機関にも間接的にその影響が及ぶ。

逆風とも言えるこの流れは、米国における価値観の見直しに留まることなく、国際社会に対する問いかけでもある。日本に目を向けると、D&Iが社会に浸透しつつある今日、今後どのようにダイバーシティとインクルージョンを捉えていくべきか、考察を深める時にあると認識すべきであろう。

よって、日本機械学会誌が2026年の連載企画として「機械工学分野におけるダイバーシティとインクルージョン」に着目することは、時を得たものであり、学会を超えて価値ある取組みになると確信する。

本稿では、原点に遡り、科学技術分野におけるダイバーシティとインクルージョンの捉え方について、政策的な背景や考え方を整理するとともに、研究開発の現場における実装の視点から考察を行う。

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