日本機械学会サイト

目次に戻る

2026/2 Vol.129

装置製作:高山芳の
(多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻 統合デザイン領域 在籍)
金属・磁石・モーターなどの単純なメカニズムを用いた装置は、重力や摩擦を受け入れながら、ある行為を繰り返します。その姿は、私たちが呼吸し、脈を打ちながら生きていることを思い出させます。本誌では、学部の卒業制作である 10 体の装置〈脈拍〉を中心に、全 12 体の作品を紹介します。

バックナンバー

活動報告

バイオエンジニアリング部門での若手活動

はじめに

バイオエンジニアリング部門では、若手研究者を中心にネットワークを形成し、部門活動を活性化することを目的とした「出藍会」を組織・運営している。

本稿では、出藍会の設立経緯やこれまでの活動に加え、2025年8月に開催した「第1回BE若手研究者の学校」について紹介する。

設立経緯

出藍会の設立は2017年に遡る。当時、40歳以上の研究者間には一定のネットワークがあったものの、それ以下の世代の研究者はお互いをあまりよく知らないという状態にあった。2000年代、バイオエンジニアリング部門は、比較的小さい部門であったため、学会終了後、重鎮の先生方が出身や所属に関係なく、若手を連れて飲みにいくという慣習があった。これにより、40代以上は若い時からお互いを知る機会が多く、ネットワークが形成されていた。年を経るにつれ、バイオエンジニアリング部門は拡大していった。結果として2010年代以降になると、講演会のセッションは細分化され、同じ部門内であっても他の研究者を知る機会が減るとともに、重鎮が若手を連れて飲みに行くということが物理的に難しくなり、若手のネットワークが醸成しづらい状況にあった。

学会において、若手のネットワークは、研究情報の流通の基盤となる。知人・友人からの刺激はモチベーション維持に重要であるし、そもそも、学会に知人・友人がいると講演会等の行事に顔を出したくなる。若手間、そして年代を越えたネットワークの形成は、運営委員会での協議・決定事項の若手への情報共有を円滑にし、部門への関心を向上させる。学会の楽しい雰囲気を保つことで、博士課程への進学等にも大きな波及効果をもたらすと考えられる。

2015年、機械学会本体において、若手の会が設立された。前段落に記したことと同じようなことを期待したと推察される。これを真似たわけではないのだが、時を同じくして、バイオエンジニアリング部門内にも、運営委員会の承認を経て、若手の会(通称、出藍会)が設立された。

出藍会は、バイオエンジニアリング部門を第一位に登録している38歳以下の全ての会員、および第二位以下に登録している38歳以下の希望する会員で構成されている。前者については希望者ではなく全員である。つまり、勝手にメンバーにしてしまっているところに特徴がある。また、出藍会の運営にあたる「若手による次世代戦略委員会」の委員長は、部門長や各種委員会委員長によって構成される部門幹事会に出席し、意見を述べることができる。このようにして、若手の意見や企画を直接的に部門活動に反映できると同時に、幹事会や運営委員会での決定事項について、委員長を通じて若手に伝達できるシステムとなっている。なお、出藍会には使用用途を定めない予算を部門からつけており、自由な活動ができるようにしている。

出藍会総会

部門講演会において、出藍会の会員が一同を介する「総会」を開催し、縦と横のネットワークを図ってきた。

第1回総会(第29回バイオフロンティア講演会、2018年)では、ランチョン形式のオーガナイズドセッションが企画され、部門の研究者により、これまでのキャリアや研究の展望、ワークライフバランス、国内外の文化の差異などについてフランクに話していただいた。「研究をより楽しむにはどうすればよいか?」などの率直なテーマを中心に、会場現地で意見交換できた(図1)

図1 第1回出藍会総会

第35回バイオフロンティア講演会では、学生同士のネットワーキングを目的として、講演会中にメインホールを使用し、学生主体のクイズ大会を開催した。部門の若手にさまざまな分野にまたがったクイズを出題してもらい、その場で作った少人数チームで景品獲得を目指すという企画であった。同じラボ同士の学生が固まらないように、また博士学生も分散するように縦割りでチーム分けした。司会の教員・学生が盛り上げ、大喜利のようになったのは想定外(?)。学生参加者だけでなく、視聴席にいた(部門長を含む)教員からの珍回答も出て、和気あいあいとした雰囲気でネットワーキングが進んだ(図2)

図2 クイズの回答を考える(初対面の)学生たち

オンライン交流会・セミナー

コロナ禍では研究者間の交流が強く制限され、交流を主目的とする出藍会の存続自体が危ぶまれた。そこで、会員が気楽に参加できるオンライン配信の形を模索し、試行的かつ非公式に始めた企画が「出藍ラジオ」である。オンライン研究室見学や、教育・研究のノウハウの共有に加えて、会員から寄せられたお便りの紹介や、時には1時間雑談だけをする回など多様な企画に挑戦した(5秒以上の沈黙は放送事故との意識で委員がとにかく喋り続けた)。こうした試行企画を経て、部門の公式企画として立ち上げたものが「出藍セミナー」である。部門内外の研究者や起業家などをゲストに招くなど、企画規模の拡充を図った。セミナーでは事前に集めた質問をもとにインタビューする形式とし、参加しやすい形式を模索した。

若手研究者の学校

出藍会では、合宿形式の研究会も企画してきた。第1回若手講演交流会は、2018年度に静岡・伊豆で開催された。バイオエンジニアリング部門を担う若手研究者によるPerspective talkに加え、科研費獲得のための情報交換、(温泉を楽しむ時間がなくなるほど深夜まで続いた)懇親会、人と人との繋がりマップの作成など、充実したプログラムとなった。学会における服装のカジュアル化など、若手からの部門への提言の礎にもなった(図3)

図3 懇親会後半でのディスカッション(深夜)

2025年度は、学位取得前の学生を対象とした「第1回BE若手研究者の学校」を開催した。「対話が誘う特異点、進化するBioengineeringのNew Landscapeへ。」をテーマに、「対話」を通じて新しい概念や視点に触れ、特異点を創出し、そこから長期的に新しいLandscapeを形づくることを目指すとの思いが込められている。博士課程の学生は研究に限定されないビジョン、哲学、関心、動機、これまでの研究生活に至るまで、多様な内容で発表し、夢や現実を互いに語りあう機会となった。また、参加した教員は研究のオリジナリティや進め方、留学のやり方、予算の取り方などに関する考え方を講演し、普段学会では聞くことができない内容まで踏み込んだ企画となった(図4・5)

図4 第1回BE若手の学校の集合写真

図5 ポスターセッションも白熱した

さいごに

今後もバイオエンジニアリング部門「出藍会」の活動に期待いただきたい。本稿には書ききれなかった話は、バイオエンジニアリング部門ニュースレターNo.50に座談会形式で記載されている。バイオエンジニアリング部門のHPから読めるので、是非ご一読いただきたい。

https://www.jsme.or.jp/bio/


バイオエンジニアリング部門
次世代による若手戦略委員会

キーワード: