日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第85号

奥田トンネルのジェットファン
縦流換気システム

 ジェットファンによる縦流機械換気方式が日本で初めて採用されたのは、北九州有料道路の奥田トンネル(当時の日本道路公団により1958(昭和33)年開通、延長641m、対面通行)で、1966(昭和41)年のことである。この換気方式は、天井から吊るすジェットファンを必要数、必要間隔で取り付けるだけで済み、構造も簡単で、工期も短い。しかし、本システム採用当時は国内設置事例がなかったので、西ドイツVoith社製の内径630mm、全長4.7mのジェットファン8台を購入し、換気に必要な各種試験やデータ収集を行った。山間部が多く、人口稠密なわが国特有の道路事情に適したトンネル換気システムは、現在では国内道路トンネルの大部分(8割強)に採用されているが、その基礎となっているのは、この奥田トンネルのデータである。その後の道路拡幅による一方通行化により強制換気の必要がなくなった奥田トンネルは、1975(昭和50)年にジェットファンシステムが廃止されて、再び自然換気方式に変更されたが、撤去されたジェットファン8台のうち2台は、西日本高速道路(株)により大切に保存され、日本初の道路トンネル用ジェットファンとして道路関係者の技術技能伝承に大きく寄与している。

《写真・図面提供:西日本高速道路株式会社》

非公開(原則)

西日本高速道路株式会社 茨木技術研修センター
(保存中のジェットファンを2017年度中に移設予定)

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