日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第100号

工部大学校の「機械学」教育機器
およびC.D.ウエスト関係資料群

 わが国の近代工学教育の黎明期は、幸運にも西欧で系統だった教育テキストが出そろった時期であった。教育の場としては、世界で初めて“工”を学問とした工部大学校、それを引き継いだ東京帝国大学が中心的な役割を果たした。そこで中心となって機械学の教鞭をとったのが、工部大学校(1877~1885年)の都検(教頭)H.ダイアー(在職1873~1882年)そして、それを引き継いだC.D.ウエスト(在職1882~1908年)の2人である。
 東京駅に隣接するKITTEのインターメディアテクには、東京大学が所蔵する工部大学校草創期から東京帝国大学移行期に導入された、製図器具群や機構模型群など多くの教育機材が展示されており、明治初年期、教育の面でも近代化が急速に進められたことを理解できる。また、製図器具の一部は国内で製作されており、精度の高い工作技術の短期間での習得の様子を示している。
 一方、東京大学工学・情報理工学図書館には、ウエストの講義ノートや学生の成績原簿だけでなく、彼自身がイギリスでの学生時代に用いたノート、使用していた書籍があり、イギリスでの講義内容と、日本への技術移転時の内容・方法論の対照が可能である。また、日本での教育の成果として、当時の学生の緻密、高精細な図面が保存されている。
 これらの機器・資料群は、わが国近代化離陸期までの機械技術移転の様相を直接的に明らかにするものであり、明治初期の系統だった近代技術導入(移転)の努力のありさまを今に伝えている。

《写真提供:東京大学総合研究博物館/東京大学工学・情報理工学図書館》

公開(事前予約不要)

① JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」

開館時間:
11:00~18:00 (金曜日・土曜日は20:00まで)
入場料:
無料
休館日:
月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館)、年末年始、その他館が定める日
住所:
〒100-7003 
東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階
電話:
050-5541-8600
HPアドレス:
http://www.intermediatheque.jp
交通機関:

JR東京駅丸の内南口から徒歩1分/丸ノ内線東京駅地下道より直結
千代田線二重橋前駅(4番出口)より徒歩約2分

公開(要事前申請)

② 東京大学工学・情報理工学図書館 工2 号館図書室

開館時間:
平日9:30~17:30
入場料:
無料
休館日:
土曜日・日曜日・祝日、年末年始、学部入学試験日(その他、臨時閉室あり)
住所:
〒113-8656 
東京都文京区本郷7-3-1 東京大学工学部2号館5F
電話:
03-5841-6315
HPアドレス:
http://library.t.u-tokyo.ac.jp/
交通機関:

東京メトロ南北線東大前駅、東京メトロ千代田線 根津駅、
東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線本郷三丁目駅 から徒歩約10 分

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