「部門長就任にあたって」
今期(第77期)部門長
庄子哲雄(東北大学)
副部門長就任の時「変革の時は挑戦の時」と題し,さまざまな意味で不透明な時代と言われる21世紀に向けて,さらなる挑戦が求められている旨の拙文をこの部門ニュースに掲載して頂いた.それからはや1年が過ぎようとしている.白鳥部門長のリーダーシップのもと,積極的に新しい取り組みを採り入れてきている現在の流れを引き継ぎ,材料力学部門の一層の発展に微力ながら努力致したいと思っております.会員各位の積極的御参加と御協力を切に御願い申し上げます.
学会も第二世紀将来構想実施計画委員会の答申書も策定され,将来に向けて大きく変わろうとしております.当然の事ながら部門運営も同様であり,これからの益々の研究対象の広がりと深化,知的資産の浸透,共有,部門登録員に対するサービスあるいはメリット等々検討すべき課題も未だ沢山あるように思います.第二世紀における部門の在り方について集中的に部門内で議論する事が必要かもしれません.
さて,第77期の部門活動について御話をさせて頂きます.
材料力学部門発足からこれまでの活動は,常に前向きに,新たな挑戦をしてきたと言えるでしょう.国際化,先端化,学際化等への対応を迅速に行ってきております.例えば,国際化については,主催する国際会議も定期的なものを含めてかなりの数になっております.一方では,少々古い話になりますが,英国における腐食損失がGNP
の数%に匹敵する膨大なものである事を示したケンブリッジ大学のT. P.
Hoarの報告にもあるように,多くの現実的な腐食問題のうち,その多くは既存の知識あるいはその融合によって解決されるものであることが指摘されております.すなわち,新たに研究投資をすることなく,実に多くの問題が解決されうると述べております.この例は,複雑な現象がからみ,学問的体系化が進んでいなかった腐食分野の特殊な例であるにしても,決して現在においても全く無縁の指摘ではないように思います.知的資産の普及・共有化,人的資源の活用が如何に重要であるかを如実に物語っているように思います.勿論,常に知の創出が重要であることは言を待たないところです.いま,ここに表れてきた「知の創出」「知的資産の普及・共有」「人的資源の活用」どれをとっても,部門活動の基本であります.材料力学は歴史のある学問分野であり,依然として重要な分野であることは変わりありません.一方では,材料力学がカバーすべき新たな分野が増えてきていることも事実であります.産学連携が日本の将来にとって重要な役割を果たす事が期待されており,学会活動,部門活動はその一翼を担うことになる.知の資産は,どんなに持ち去られても,決して失われる事はありません.部門活動の柱として,この「知の創出」「知的資産の普及・共有」「人的資源の活用」を念頭において部門運営を進めて行きたいと思っております.新たな時代に向けて,部門一丸となっての挑戦です.改めて会員皆様の積極的参加を御願い致します.
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