「新潟地域産業・材料力学部門交流会を開催」

第76期材料力学部門長 白鳥 正樹

 昨今,学会の公益性が強く求められています.材料力学部門においても,年1回の講演会に加えてそれぞれ年2回のニュースレターと講習会を通してサービスを提供しております.しかしながら,産業の最前線にある地域産業との接点は,各支部活動によるところが多く,部門に対する要望を直接に聞く機会はこれまで少なかったように思います.
 一方,巷間では厳しい経済状況を勝ち抜くため,新たなヒット商品が待望されています.新商品の開発には顧客ニーズに応える,顧客ニーズを引き起こすことがポイントになります.また,一方では商品をどのように安く作るかの価格競争の時代にも突入しています.しかしながら,PL法施行等に伴って一度不具合を起こすと事業基盤をも揺るがすことになり兼ねません.米国における調査によれば,材料の強度に関する問題が薬品に次いで数多く報告されており,部門としての取組みが問われています.
 今回,初の試みとして北陸信越支部と新潟大学地域共同研究センターとの共催で,標記交流会を2月15日に(財)新潟県県央地域地場産業振興センタ−にて開催しました.参加者44名を迎え,特別講演2件と自由討論を行いました.東京工業大学 小林英男 教授に“圧力設備の事故事例に学ぶ”,新潟大学 原 利昭教授“21世紀期待の地場産業製品−医療用インプラント−”の特別講演をお願いしました.重大事故の原因究明に携われた豊富な経験に法規制の現状を交えてお話し頂きました.また,医療インプラントはQuality of Lifeの向上をもたらすと共に,高加価値製品の創出の機会でもあることを紹介頂きました.自由討論は,本交流会を企画・運営した講習会担当の第7技術委員会のメンバーを交えて行い,圧力容器の世界的な規制の動向,医療におけるPL対応,社内教育,電子機器や高温機器の信頼性設計について情報を交換しました.討論を通して技術相談のルート作りの必要性を実感しました.また,協力頂いたアンケートからは,材料力学部門の講習会に期待する項目や規模を知ることが出来きました.貴重な参考資料として今後の活動につなげてまいります.


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