95期部門長挨拶

このたび、第95期生産システム部門の部門長を拝命いたしました(株)日立製作所の野中です。宜しく御願い申し上げます。
近年、資源枯渇、環境問題、少子高齢化など全世界で取組まなければならない社会課題に対して、Industrie4.0(ドイツ)、IIC(Industrial Internet Consortium)(米国)、RRI(Robot Revolution Initiative)(日本)など、デジタル化による社会変革をオープンイノベーションで起こしていこうという機運が高まっています。このオープンイノベーションの促進によって、生産システムも、水平分業化や再構成容易化など、ダイナミックなネットワークを構成する形態への変革を求められています。このような課題に対して生産システム部門においては、デジタル社会をリードする研究成果と社会への貢献が従来よりも強く求められています。そこで95期も以下に示すような研究分科会、講演会、講習会を積極的に推進して行きます。
研究分科会では、IoT環境下でつながった先にある、工場の将来展望を研究テーマとした「つながるサイバー工場研究分科会CPPS: Cyber Physical Production System」の活動を2016年6月より開始しています。CPPSは,生産システムを対象としたCyber Physical Systemであり、現実世界であるPhysicalとコンピュータ上の仮想世界のCyberとを連携して、ものづくりにおいて新たな価値を創造するものづくりマネジメントのためのシステム技術と捉えています。委員は産官学から40名程度の参加を得て、現状技術、最新技術を調査しつつ、将来のあり方について整理、明確化を進め、2018年3月に最終まとめの報告を予定しています。2017年3月に生産システム部門講演会(埼玉大学)で中間発表を実施し、ドイツ・ハノーバーでの国際展示会CeBITの日独IoTフォーラムで、活動内容の講演を行いました。また、7月に生産システム見える化展(東京ビッグサイト)でも、活動内容を紹介しました。
もうひとつの研究分科会として、2013年12月に設置したP-SCD383:アディティブマニュファクチャリングにおける生産システム工学の研究分科会は2016年11月の設置期間を終え、新たに、2017年1月からP-SCD400: AMを軸とした生産システム革新研究分科会として活動を継承しました。継承した分科会活動では、アディティブマニュファクチャリング技術を軸に関連技術との融合も視野にして、生産システム革新を広く議論していきます。生産方式/SCMあるいはものづくり教育,スマートファクトリとも言われるデジタルファクトリ、医療等、AMがインパクトを与える生産システム領域におけるサイエンスコミュニティの中核の場とすることを主なねらいとして活動を進めていきます。
講演会としては、次回の生産システム部門研究発表講演会は、2018年3月14日(水)に明治大学駿河台キャンパスで開催致します。今年3月に開催された講演会では、AIなど情報技術に関する話題が盛り上がりましたが、次回も注目の先端技術をテーマに特別講演等を企画して参ります。また、従来通りしっかりとした議論のできる研究発表の場にもしていく予定でありますので、是非、研究発表・参加をご予定ください。
加えまして、一つお知らせがあります。2017年4月から日本機械学会が主催する全ての講演会では、会員であることが講演の条件となりました。ご講演を予定されている方はご承知のほど、宜しくお願いいたします。
講習会では、生産系に関わる技術者で生産ライン設計を学びたい方々のために、生産ライン設計の基本的な知識や設計のノウハウを修得し、よりよい生産ラインづくりをできるようになるために、本年7月27日に「つながる工場のためのIoT活用生産システム設計講座ベーシック編」を実施しました。また12月に実践活用編を企画しています。本講座では生産ライン設計を学ぶとともに生産シミュレータを活用して生産ライン設計を検証する方法も同時に学びます。生産ライン設計の基本的な概念に関する講義と、ひとり一台の生産シミュレータによる演習を行います。ものづくり組織を強化するため、生産シミュレータを活用しながら生産ライン設計を学んでいただきたいと考えています。
また、12月5日にはオークマ株式会社ソリューションセンター見学会付き特別講演会を企画しています。工作機械、部品加工、組立工場の見学と、関連技術に関する講演を予定していますので、是非ご参加いただければと思います。
生産システムに対して重要性が増している時代に、生産システム部門はその一翼を担うべく活動いたします。今後とも御支援、御協力御願い申し上げます。
2017年度(95期)部門長 野中洋一((株)日立製作所)