97期部門長
一般財団法人
電力中央研究所
常務理事 犬丸 淳

 このたび、第96期佐々木部門長(東芝エネルギーシステムズ)の後任として、第97期動力エネルギーシステム部門の部門長を務めさせていただきます、電中研の犬丸です。新たな「令和」時代の幕開けの年に大役を仰せつかり、身の引き締まる思いです。時代の要請に応え、社会に貢献する部門となるよう、より一層コミュニケーションの強化を図り積極的な活動を展開して参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、令和時代のエネルギー社会は、どのようになっていくのでしょうか。2050年頃まで視野に入るとすれば、我が国の長期的目標である温室効果ガス80%削減の達成や、安全が確保され経済的で安定的なエネルギーの供給を目指す、“S+3E”の実現が、新たな時代の最も重要な課題の一つになると思われます。一方で、エネルギー部門は大きな変革の流れの中にあります。電力システム改革が進展し、電力、ガスの小売り全面自由化、2020年の送配電分離、様々な市場の整備などが矢継ぎ早に進められています。また、近々取り纏められる「気候変動長期戦略」に基づき、再エネの主力電源化の流れや、ESG投資の拡大等に伴う石炭火力発電への逆風などと相まって、脱炭素化に向けた取り組みをこれまで以上に加速化させることが必要となるでしょう。さらに、昨年は台風や地震などの自然災害が頻発し、広域停電や一部地域での長期停電が社会に大きな影響を及ぼしました。これを機に電力システムのレジリエンスの確保が注目され大きな課題となっています。

 このように大きく変化し複雑化する事業環境の下で、再生可能エネルギーの大量導入、デジタルトランスフォーメーション、分散化などが進展することで、将来のエネルギーシステムにおける、ディスラプティブ、すなわち破壊的な変化が起こる可能性も高まっています。この非連続な変化がいつ訪れるのかは不透明ですが、たとえ起こったとしても柔軟に対応し、より良いシステムの創造に繋げていくことが必要です。そのためには、常に一歩でも二歩でも先を見てニーズや課題を先取りしていくことが不可欠です。変化があるところには必ず新たなニーズや課題があり、そこには研究開発やビジネスの多くのチャンスが生まれてくるはずです。そして、豊かでより良い社会の構築に向けて「エネルギーの生産・流通・利用の全体最適化」を実現し、脱炭素化、エネルギーの供給信頼性、経済性の確保を同時に達成することが求められています。これらの目標を達成するため、例えば、電力だけでなく、熱、運輸など様々な部門間が連携して脱炭素化を図る、いわゆるセクターカップリングや各部門における電化の促進が効果的でしょう。また、カーボンリサイクルなどの新たな概念に挑戦することも必要と考えられます。もちろん、動エネ部門に所属される皆様の様々な活動が、これらの先導的役割を果たすことは言うまでもありません。

 動力エネルギーシステム部門は、様々な大学、企業、研究機関等がバランスよく融合していることから、部門における積極的な活動により、前述の課題解決のキーとなる、様々な分野に横串をさすプラットフォームとして機能することが期待されます。さらに、このプラットフォーム機能が活性化し当部門に参加するメリットが再認識されれば、部門の一層の発展にも繋がると思われます。市民の皆さんが実感できる、豊かでよりよい社会の構築に貢献するため、部門の皆様のお力添えを得ながら、微力ながら努力していく所存であります。

 最後に、動力エネルギーシステム部門は、2020年度に設立30周年を迎えます。今期はそれに向けた準備期間となりますが、種々の企画等で盛り上げていきたいと思いますので、各位のご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。