一般社団法人 The Japan Society of Mechanical Engineers

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No.222 日本各地への旅
2024年度広報情報理事 一野瀬 亮子〔(株)日立製作所〕 

JSME談話室「き・か・い」は、気軽な話題を集めて提供するコラム欄です。本会理事が交代で一年間を通して執筆します。


2024年度広報情報理事 一野瀬 亮子〔(株)日立製作所〕

No.222 日本各地への旅


この数年、日本各地をくまなく見て回ることを楽しみにしています。年に数回、1回約10日間、今回は東北、今回は北陸、中京、など。すると東日本大震災後、リアス海岸のほとんど全ての河口に巨大防潮堤が建造されていることを知ったり、東北日本海側では風力発電風車が林立していて、高さ数百メートルほどの建てやすい山がたくさんあることを知ったり。西では教科書でしか知らなかった歴史の舞台の場所があちらこちらに本当にあるんだと知ったり。今昔、各土地の特徴を実感を伴って学ぶことができます。そんな旅のうち、特に充実度の高かった旅をルートの御参考にご紹介します。出雲縁結び空港に降り立って、京都の世界遺産15箇所巡りまでの、島根鳥取京都旅です。

まず、計画は旅行日の現地の日の出、日の入り時刻調べから始めます。そして、営業時間が限られている施設、日の出前、日の入り後の薄明かりでも楽しめる場所を確認し、概略行く順序を決めて各場所の所要時間をメモっておきます。あとは現地で発見した行きたい場所を随時追加。

休日を有効に使うため、前日夜の飛行機で現地入りしレンタカーを借ります。夕食は地元の名産、のどぐろ丸ごと一匹です。水深200m付近に住む脂の乗った深海魚。付近に深海があるのだな、おいしいな、むしゃむしゃむしゃ。

翌朝は早朝に出発し、八束水臣津野命が海の向こうから綱で引っ張ってきた急峻な島根半島をドライブし、日御碕神社にお参り、神無月に神々が上陸する稲佐の浜を見てから出雲大社をお参りし、開館と同時に古代出雲歴史博物館に入ります。午後は島根半島を引くときに綱を掛けた三瓶山を遠くに見ながら、昔、船に乗った商人が山の頂上が光るのを見て発見した石見銀山に行き、露天掘りと異なり自然環境を保全した掘り方で世界遺産に登録されたことを学びます。ふもとの町並みを全て歩いた後、銀を積み出した温泉津港を見て、びゅんと移動し、神話がライトアップされた玉造温泉の散策を楽しみます。

翌朝も早起きし、宍道湖畔を通り日本海側までドライブして宍道湖が日本海に直接繋がっていることを知ります。武家屋敷を見ながら松江城開門と共に入城。その後は、奥出雲のたたら製鉄の勉強です。奥出雲にはたたら製鉄を学べる博物館がいくつもあります。最上流工程の砂鉄を含む地層を切り崩す現場で爪を立ててみるところから、最終工程製品の刀剣の模造品を振り回すところまで体験しました。たたら製鉄は炭を大量に使うため、炭にする木を育成する森林の必要面積から操業家件数が決まったそうです。炭にする木は30年周期で計画的に育成、伐採されたそうで、気の長いサステナブル事業です。八岐大蛇は鉄を含んで赤くなった暴れ川のことだとか、農閑期の仕事とすることで農民の理解を得たとか、弓ヶ浜半島は砂鉄を取った砂が溜まってできたとか。夜はコナン列車、鬼太郎列車を見ながら境港へお魚を食べに向かいます。

翌朝は、温泉の出る砂浜を見て、深海に住む紅ズワイガニの朝食をとり、等身大の鬼太郎たちと記念撮影し、空いているうちに足立美術館です。そして隣の安来節演芸館でどじょうすくいの踊り方を学んで柳川鍋を食し、大山の崩落を眺めながら、日本最大の中国庭園、燕趙園をくまなく見て、白兎神社へ。

翌日は、鳥取砂丘。川で海に運ばれた砂が風で吹き上げられてできたことを学びます。馬の背に駆け上がり、ぴょんぴょんと跳ぶように下りてくるのも楽しい。砂の美術館の国際協業の砂の大作も素晴らしい。砂をイメージしたソフトクリームを食べ、すなば珈琲も体験。その後はレンタカーを返して列車で城崎温泉駅へ。ずわいがにを食べ、七湯巡り。

翌朝は始発列車で、玄武岩の名前の由来となった玄武洞を対岸に見ながら亀岡駅へ。ここから保津川下りで京都嵐山へ登場です。紅葉の一番きれいな日でしたが、小雨のため人出は少なく、渡月橋も街もすいすい歩け写真もゆっくり撮れました。湯葉しゃぶ賞味後、宝厳院、天龍寺、竹林、落柿舎、常寂光寺、二尊院、祇王寺。

翌朝早朝に清水寺へ。東福寺、三十三間堂、銀閣寺、哲学の道、平安神宮、禅林寺、南禅寺。長距離移動はバスで行いましたが渋滞がひどく、住民は日常移動が大変と推測しました。蹴上インクラインで疎水を学び、知恩院、八坂神社。18時頃、京都駅の方に予約したお店に行くためバスに乗ろうとすると長蛇の列。バスが来ても満員で乗れません。そこでタクシーを捕まえて乗ったところタクシーは駅と逆方向に走り始めました。みんな駅の方に行きたがるからこの橋が混むのであって他の橋を通れば空いているのだそうです。混雑がコロナ前の40%なのでこの地区に来た、それ以上だと身動き取れないから来ないとのこと。普段はタクシーを捕まえることもできないわけですね。お店でも、遅刻やキャンセルの電話がひっきりなしに掛かってきていました。MaaSで誘導して動線を分散させれば観光客もスムーズに移動でき、お店の損失も減り、住民も楽になるのかもと思いました。

翌日は大原です。三千院、音無の滝、寂光院、下鴨神社、上賀茂神社。宝が池公園では、京都議定書に思いを馳せました。

次の日は、瑠璃光院の卓に映る紅葉を堪能後、延暦寺会館でもどき料理、梵字ラテ。圓光寺、詩仙堂。

翌朝は、西本願寺、東本願寺、西芳寺。西芳寺の苔は素晴らしく、お庭には120種類もあるそうです。特に、写経後、表に出たところの木の根元にある、くるくるっと巻き毛のような苔が一番です。同じ苔を探しましたが庭の他の場所では見つかりませんでした。ネットでも見つからなかったため、代わりにやや似た苔を買いました。蓋付きプラスチック容器の小世界の中で、1年に数回湿らせるだけで青々と生き続けています。不思議です。西芳寺から大覚寺へバスで行く途中、嵐山を通りました。数日で紅葉の最盛期は少し過ぎていました。あっと言う間ですね。細い道では係の人たちが道に立ちバスを誘導していましたが、自家用車で渋滞です。渋滞すると分かっているのになぜ自家用車で来るのだろうと周りの車を見ると近隣ナンバーで若いカップルです。なるほど!渋滞が嬉しい人たちもいるわけですね。できるだけ長く二人の時間を過ごしたいのですね。これでは渋滞はなくなりませんね。北野天満宮、金閣寺、龍安寺、夜間参拝で仁和寺。極近くに吉田兼好の草庵もあり、仁和寺にある法師の話は、吉田兼好が近所の噂話を書いた物なのですね。数百年後、教科書に載って国中の子供が知ることになるとは思いもしなかったことでしょう。

最終日は、平等院、宇治神社・宇治上神社でみかえり兎おみくじを頂戴し、福寿園の、ペットボトルでないお茶のおいしさを知り、醍醐寺、隨心院、勧修寺、伏見稲荷大社。最後に東寺の夜間参拝を堪能し、あらゆる神社仏閣の紅葉を比較、楽しむことができました。

このルート約10日間で世界遺産16カ所を巡り、サステナブルな知識を広めることができます。次の旅のご参考に!