第3回ロボットグランプリ   東工大 広瀬茂男 

 平成11年11月20日(土)、21日(日)、そして23日(勤労感謝の日)に横須賀市南体育館を中心とした会場で日本機械学会主催、ロボティクス・メカトロニクス部門企画の第3回ロボットグランプリが開催されました。本大会はかながわサイエンスカーニバルの一環として実施されたこともあり、延べの来場者数は4万3千人を数え、多くの青少年にもの作りの面白さを伝えることができました。実施した主な競技と優勝チームは以下の通りです。

1)「大道芸ロボット競技」:観客の喝采を得るような自由な発想の楽しい大道芸ロボットを製作してもらう競技。今回の優勝チームは電通大の「チアリーディングロボ」。計算機制御の群ロボットがお互いにタイミングを合わせて動き回り華やかにチアリーディングをするもので見栄えのある演技でした。


大道芸ロボット競技

 

2)「からくりロボット競技」:動力源として電力以外ならば何でも使用していい動くメカニズムの面白さや精巧さを競う競技。今回の優勝チームは小野電機製作所の「ぶんちゃん4号」。ばね動力でゴルファーがパターでゴルフボールを叩くとホールに入ったりOBしたりするという動作を繰り返すもの。機械技術を誇る製作所の作品らしく、アクリル板の中で動く精巧な機構の動きはすばらしく、会場に展示された作品の周りに子供たちが集まり飽きずにその動きに見入っていたのが印象的でした。

からくりロボット競技


3)「ロボットランサー競技」:槍を持った槍騎兵(ランサー)ロボットが周回コースを辿りながら左右に吊るされた標的を槍で突いてゆく競技。前回優勝者のぺんてる鞄y居浩之氏が完璧な走りと槍さばきでまた優勝。周回時間を短縮するためトレースするラインを一時離れるという技は見事なものでした。


ランサー競技


 なお、今回はこれら以外に新たに「ロボットスカベンジャー競技」を開始し別途実施しました。これは一般の人も気楽に参加できるようにした競技です。大会の数週間前に車両のキットを参加希望者に渡し、車両キットの組み立てとそれに搭載する自由な発想の操作機器を家にあるボール紙やセロテープなどを使って作ってもらう。そして競技会では、競技台の上にばら撒かれたごみに見立てたピンポン球をごみ集積所に集める作業をいかに早く正確に行えるかを競ってもらいました。参加者は、小学生と親、あるいは中高校生の2人チーム。製作時間も短く、また使用できる材料も限られているにもかかわらず審査員もなるほどと唸るような面白いアイデアのロボットが続出しました。限られた材料を囚われない発想で組み合わせ目的を達成するマシンに仕立て上げるという訓練は創造性育成に著しく有効ですが、この競技はそれを楽しみながら実行していると感じられました。


スカベンジャー競技

 

 御存知のように、ロボット創造国際競技大会「ロボフェスタ」が大阪と神奈川で開催されますが、我々の「ロボットグランプリ」はその中核競技会となっています。そして次回の第4回ロボットグランプリはロボフェスタのプレ大会の一環として本年11月4日(土)、5日(日)に川崎市のとどろきアリーナで今回以上の規模で実施されます。また、ロボフェスタ本大会においては2001年11月16〜25日にパシフィコ横浜で第5回大会が実施されます。
日本機械学会関係者の皆様方には、日本機械学会が主催するこの「ロボットグランプリ」に是非とも積極的に参加いただけるようにお願い申し上げます。大学や高専などでは創造製作の講義に組み込んでいただくと大変効果的と思われます。 
 私自身東工大機械宇宙学科の設計製図の講義に「大道芸ロボット」製作を組み込み効果をあげています。企業関係者の方には企業内のエンジニアのための技術力発表の場としてこの競技会を利用していただけないでしょうか。プロのエンジニヤによる質の高い作品を数多く青少年に見せることができれば、機械技術の面白さを広く大衆にアピールできるでしょう。次回からはロボット創造教育表彰(仮称)を設けてこのような競技会の参加グループのサポーターを表彰いたします。
 今、青少年の理工系離れが進行中だという報道が続いていますが、ハイテク技術が身の回りに浸透し、すべてのものがブラックボックス化して来つつある状況の中で健全な技術を継続的に発展させるには、このような等身大の技術に向かい合い、自分自身の手を使ってスポーツ感覚でもの作りを楽しむ環境を作り出すこと、そしてそのような作品を身近に感じられるような場を作ることは著しく重要であると我々は確信しています。皆様方の積極的な御協力をお願いいたします。   
 競技会についての問い合わせ、参加申し込みは日本機械学会ロボットグランプリ担当佐藤秋雄(電話(03)5360-3505 、FAX(03)5360-3508)に連絡下さい。

ロボットグランプリホームページ:

http://www.jsme.or.jp/rmd/calendar/robotgp/imdex.html

 

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Last Update :  2000/7/7

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