日本機械学会 2007年度年次大会熱工学部門報告

年次大会熱工学部門実行委員会
委員長 武石賢一郎(大阪大学)
年次大会熱工学部門実行委員会
幹 事 赤松史光(大阪大学)

 日本機械学会主催の2007年度年次大会が,9月10日〜12日に亘って,関西大学吹田キャンパスで開催されました. 機械学会熱工学部門に所属されている会員の皆様には,春の「伝熱シンポジウム」,秋の「熱工学コンファレンス」,「熱物性シンポジウム」, 師走の「燃焼シンポジウム」に軸足があり,例年,年次大会への参加は低調である傾向が続いています. しかしながら,年次大会は機械学会に所属する20の部門が一堂に会するという意味で,上述の専門分野の会合とは大きく趣旨が異なります. 特に,最近の熱工学は,境界領域,新しい分野への進出が目覚ましいので, このような新規性の高い研究分野に関する他部門との共同開催の企画を行うことが熱工学部門の年次大会に相応しいと考えました. このような考えに基づき,熱工学部門と他部門の会員の交流が活性化し,熱工学部門の発展に繋がるように,実行委員の方々と企画致しました.
 熱工学部門単独の企画である,先端技術フォーラムでは,現在熱工学部門でも最先端であるナノ,バイオとは異なる, 古典的ではあるが今後も日本の経済発展に重要であろうと考えられる基盤技術を取り上げました.また生活に密着した熱工学の新技術を企画させて頂きました. その結果,先端技術フォーラム「F-02 熱工学最前線」,オーガナイズドセッション「S-40 快適暮らし環境創造のための新技術展開」では, 多岐に亘る講演がなされ,話題性に富むこともあって,盛況で活発な討論がなされました.
 熱工学部門と他の部門とのジョイントセッションとしては,「J-14 環境モニタリングと負荷低減のための熱流体・環境工学の展開」, 「J-15 噴霧による混合気形成および燃焼」,「J-13 乱流とマルチフィジックスのモデリング」,「J-16 電子情報機器, 電子デバイスの熱制御と強度・信頼性評価」の4件が企画され, 環境工学部門,動力エネルギーシステム部門,流体工学部門,材料力学部門,計算力学部門,情報・知能・精密機器部門との合同開催で多数の参加者による, 研究内容の情報交換が進められました.また上記の企画に属さない論文投稿を集めた一般セッションにも41編の講演論文の投稿があり, 伝熱,燃焼の基礎研究,あるいはその応用製品に関する研究成果が発表され,質疑応答も活発で充実した内容となりました. 特に,高専生,大学4年生,大学院生の研究もこのセッションで多く発表され,機械学会主催の講演会が教育的な面でも大きく貢献をしていることが再認識されました.
 来年度の熱工学実行委員会は,年次大会は機械学会の20の部門が一堂に揃う唯一の講演会であることを再認識し, 他部門への情報発信と部門共同企画推進をお願いしたいと思います. また,動力エネルギーシステム部門が緊急に企画された「新潟県中越沖地震−柏崎刈谷原子力発電所で何が起こったのか?」は当初プログラムにはない企画でしたが, 日本機械学会が社会的責任を果たす上で,非常に的を得た企画でした.熱工学部門でもこのような企画を臨機応変に実施する必要があるのではないでしょうか. もちろん,大事故は起こらないに越したことはありませんが,不幸にして起こった場合には,中立的な組織で,技術が解る人々が, 社会に情報を正確に発信する責任を感じる次第です.
 部門同好会は,関西大学の以文館にて,熱工学部門,流体工学部門,材料力学部門,計算力学部門の4部門で開催されました. 昨年度までは,熱工学部門の表彰式を,部門同好会の前,あるいは熱工学部門のセッションの終了後の講演会場で開催していましたが, 本年度からは,表彰式を熱工学コンファレンスで行うことと致しましたため,同好会は純粋に熱工学部門の会員間および合同開催の関連部門の皆様と交流の場となりました. 本年度の同好会には,熱工学部門からは12名,全体で61名の参加を得て行われました. 中谷委員長(材料力学部門年次大会)の司会で進められ, 武石委員長(年次大会副実行委員長・熱工学部門年次大会)からの挨拶と乾杯でスタートし, その後,流体工学,材料力学,計算力学部門の年次大会委員長からご挨拶を賜りました. 和やかな雰囲気で研究談義に花が咲く中,本年度の各部門の部門長の先生方からご挨拶を賜りました. 門出部門長(熱工学部門)のご挨拶の際の写真を図1に示します.
 来年度の年次大会,部門同好会には,さらに多くの会員の参加を賜り,会員相互の親睦を深めていただくことを祈念致しまして, 2007年度年次大会 熱工学部門のご報告とさせて頂きます.

テキスト ボックス:図1 ご挨拶される熱工学部門 部門長 門出先生

図1 ご挨拶される熱工学部門 部門長 門出先生