熱工学部門長あいさつ

第86期熱工学部門長


東京工業大学 大学院理工学研究科 機械宇宙システム専攻
教授    宮内 敏雄
tmiyauch@mes.titech.ac.jp


 第85期部門長の門出政則先生の後を引き継ぎ、第86期熱工学部門長を仰せつかりました。 熱工学部門の一層の活性化に努めてゆきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 熱工学部門は、伝熱学、燃焼学、熱物性の学問分野を包含し、 学術コアとして四力学の一翼を担い、設計工学、計算工学、加工・生産工学などの 学術コアにおいても重要な役割を果たしています。 さらに自動車工学、航空工学、エネルギー工学、環境工学などの分野でも主要な役割を果たすなど、 機械工学の中で主要な位置を占めています。 近年、ナノ・マイクロ、バイオなどの新分野においても新しい進展が見られ、 その領域は広がりつつありますが、全体的に熱工学は成熟した学問分野であるという印象を 与えているのではないかという懸念があります。 シュンペーターの言う「創造的破壊」に繋がるような学術上の発見や技術上の提案を 熱工学部門から活発に出していくことによりこのような印象を拭い去ることが必要と思います。 特に若い方たちには「創造的破壊」に繋がるような研究や技術開発を行って頂きたいと思いますが、 そのためには研究・開発面で「黒字部門」だけではなく、「健全な赤字部門」を抱えて頂ければと思います。

 また、第86期中には

   (1)「環境・エネルギー問題に関する政策提言に繋がるような活動」、
   (2)「マイクロ・ナノ、バイオ分野における熱工学の貢献についての検討」、
   (3)「産学連携コンペティション」、
   (4)「先輩に研究の苦労話、失敗談などを伺う」


の4つの項目を行いたいと考えています。

 (1)「環境・エネルギー問題に関する政策提言に繋がるような活動」に関しては、 熱工学部門から実現可能な政策提言を行うための方策の設定に着手できればと思います。
 (2)「マイクロ・ナノ、バイオ分野における熱工学の貢献についての検討」に関しては、 近年進展の著しいマイクロ・ナノ、バイオ分野における熱工学の貢献について検討するとともに、 将来展望を得ることに着手できればと思います。
 (3)「産学連携コンペティション」に関しては、産業界から解決すべき研究テーマを出して頂き、 これに対して大学の教員・博士課程学生、研究機関の研究者などから解決策を提示して頂き、 コンペティション方式で解を見つけていこうというものです。 この取組みの端緒を開ければと思います。
 (4)「先輩に研究の苦労話、失敗談などを伺う」に関しては、先輩から研究の苦労話、 失敗談などを伺う機会を設けることにより、学生や若い研究者が自分達の経験していることを 先輩たちも経験しているのだという事を理解し、自信を持って自分の分野を切り開いて いくことが出来るようになればと思います。

 今年度の活動としては、年次大会、第7回日韓熱流体工学会議、 部門講習会などが計画されています。 活発なご参加をお願いいたします。 また、熱工学部門と日本伝熱学会との合同編集による英文誌「Journal of Thermal Science and Technology」及び和文誌「日本機械学会論文集」に活発にご投稿頂き、 これらの知名度を上げ、盛り立てて頂きたいと願っております。

 熱工学部門の活動は所属会員の皆様によって支えられています。 ご協力とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。