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渦流研究室の研究テーマとその実態

日本大学大学院 工学研究科
        杉山 和也

 私の所属する渦流研究室(指導教授 小川明教授)は,大学院生2名,卒業研究生9+1名に小川先生を含めた計13名で構成された遊び心あふれた賑やかで活気のある研究室です.その一端を紹介しますと,春や秋の天の良い日には小川先生の「ソフトボールをやろう」という一声で研究室員総出でグランドに出る羽目になります(私達はもっぱら先生のノックを受け,先生が疲れた頃に誰かと交代するという事が多いのですが).しかし,この様な時折の息抜きは先生との交流も出来,研究を進める上で必要不可欠なものと言えるでしょう.
 当研究室では日頃の研究以外に研究室の親睦を図るための年中行事があります.春の桜の木の下での記念撮影に始まり,顔合せのコンパ,学力の向上と研究室の親睦を深めるという名目を掲げた夏休み前の夏期合宿(全員で英語の論文の輪講をしますが,その実情は海水浴と夜の先生の部屋での中国式室内遊戯です),研究室での忘年会,年を明けての冬の蔵王でのスキー(勿論夜には先生を交えた中国式室内遊戯があります),そして卒業式後のコンパで終了します.しかし,この夏期合宿やスキー合宿を一番楽しみにしているのは先生の様に思われます.
春の連休が終わる頃夏期合宿の計画を気にし始め,夏休みが終わるとスキー合宿の計画を気にし始めて,楽しみにしている様子が私の目から察せられます.
 さて,当研究室の研究テーマは研究室の名称に冠している様に渦.渦と聞いて,自然現象では台風や鳴門の渦潮,機械工学関係ではカルマンの渦列などを想像される方が多いと思いますが,実際は多くの分野で応用されています.しかし私達の扱っている渦は,基礎的な現象として,共軸円筒の外筒を静止させ,内筒のみを回転させた時に発止するテーラー渦の発生と成長を実験的に行って観察し,ビデオ撮影によりその機械について解析を行っています.また,この時発生する渦が楕円であることに注目して従来の従来の円筒に代わって楕円筒を州いた楕円渦室を作製して,円筒渦室内と楕円渦室内の気流の流動状態の相違を実験的に求めています.そして,近く楕円サイクロンを作製し,実際に粒子を流入した場合に普通型サイクロンとの粒子の分離特性の相違を求める予定となっています.そして渦の応用研究では,軸流形サイクロン分離器の分離特性を理論的,実験的に研究しており,私が従事しています.軸流形サイクロンでは反転流式の普通型サイクロンと異なり,多くは案内羽根によって旋回カを与えた直進流式でありますが,私達のサイクロンでは接線流入方式によって旋回カを与えています.ここで,サイクロンではサブミクロンの粒子が捕集しにくいのに今時何故と思われる方がいると思いますが,それはサイクロン内の粒子の分離機構がまだ明確でないからです.
 以上のテーマで私達は日夜研究に励んでおり,研究を通して身に付けことを社会で生かすことが課題になっています.そして大学院生には大学院在学中に日頃の研究成果を機械学会で3回以上講演を行うことが目標となっています.


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