目次へ戻る   前のページ   次のページ


コンパスを学生会の核に

平成3年度委員長校顧問教官
岩渕 明

 本年度の東北学生会の最大の行事は,全国学生研修会の開催であった.しかも学生会創立30周年記念行事を同時に開催することになった.考えてみれば,全国に8学生会があり,しかも東北地区は6県であれば岩手県で行うのは50年に1度,まさに国体と同じである.しかしこのような意識を打ったのは,開催の1週間前であり,それまでの準備を見直すでもなく,何とかなるであろうという楽観論で研修会を迎えた.東北生会会員校から多数の参加協力を得,無事終了したことに感謝する次第である.これらの報告は後で,全国学生研修会特集として述べられている.
 顧問教官として学生会の発展をいかに考えるか,これが別の意味での私の仕事である.機械学会は会員増強のターゲットとして学生員の拡大を掲げている.
東北学生会では会員校の努力により,4月の384名から10月の474名(委員長校把握)と増加している.しかし学生を勧誘する立場からは,単なる脅し(?)では駄目で,入会のメリットは何かを明確にしなければ納得させられない.研修会への参加は一つのメリットではあるが,人数的(財政的)制限があり,誰でもという訳にはいかない.
 そこで,当大学機械系学科では公開ゼミ(Informal Meetingと科内では呼ぶ)への参加を呼びかけたり,教官(学会正員)との交流会を企画したりして,学生員の「特権」を強調したいと考えている.学科内での縦の関係が余りにも薄い現在,学生会を利用して学生間の縦の関係を築くことが必要かと考える.しかしこのようなことはただでさえロードの大きい教官側にさらにロードを強いることになる.従って学生会の活性化は教官のボランティア活動の精神なくしては成り立たない.重要なことは学生をうまくリードする(使う)ことであり,そのリーダシップを顧問教官がとることである.大きな組織から受けるメリットよりも,個々の組織で独自のメリットを探る必要がある.
 さらに学生員のメリットとして,情報の入手特権を与える必要がある.全国規模では,学会誌や,メカライフの配布があるが,地域性としての「コンパス」の利用を考えなければいけない.単なる活動報告書ではなく,地域の会員が欲する情報を提供することが大切である.高専の学生には,各大学の編入学の実態,各大学では大学院進学の実態など,あるいは各校での卒研・修諭のテーマ一覧,就職状況など受験産業が現在余り価値を見いだしていない領域での情報提供があると考えられる.この様な情報を通して,各会員校間の交流が可能となるのではないか.
 何か画期的なことをと考えてみても,日常の忙しさに追われてしまっている.従って,東北学生会の活性化に何ら関与をしていないと反省しているが,せめてコンパスを通して交流の輪を広げてもらいたいものだと考えている.

(岩手大学工学部機械工学科 教授)



目次へ戻る   前のページ   次のページ