目次へ戻る   前のページ   次のページ


 機械系学科の学生の印象

 秋田工業高等専門学校
 工業化学科5年 木村たまき

 私は化学を選考している女子学生である。普段の化学実験では、重さを量るにも、温度を測るにも最低コンマ以下4桁という精度を要求される。そのためか、私と同じ学科の学生つまり化学系の学生は良く言えば繊細、悪く言えば神経質な人が多いように思われる。学科が違うためか、私が機械系の学生と接する機会はあまり多くな。しかし、時々機械工学棟で見かける学生からは、作業服を着て工作機械を動かしている油のにおいのしそうな男性的な印象を受ける。白衣を着て、不健康そうな薬品のにおいをただよわせている化学系の学生とは対象的である。私の友達に機械系の女子学生がいる。彼女でさえも男性的な面を持っている。ある日彼女は、ビデオデッキが故障したと言って、ドライバーを取り出しデッキを修理しはじめた。ビデオの予約録画さえできない機械音痴の私にとっては、とても頼もしく思えた。彼女の性格は、男勝りで、さっぱりとして、頼りがいがあり、まさに機械系の学生といった感じである。
 これまで書いてきたことは、今年の夏休みまで私が抱いていた印象である。夏休みを転機に、これまで持っていたイメージが少し変わった。私の学校では、化学系の学科でも他の学科についてある程度の知識を得るため、機械工学概論という講義を受けることになっている。その講義の夏休みのレポートとして、どんな題材でも良いから、機械の分野に関するトピックスを見つけて提出しなければならないことになったのである。そこで、いままで目を通したことのない機械系の専門雑誌を読むことになったのである。その雑誌は「はかる」ということをテーマにさまざまな計測方法や機器が紹介されていた。いずれの機器も綿密な理論と計算により設計され開発されれてきたことを知り、機械といえば油くさいといったイメージは薄れていった。考えてみれば私たちが、化学実験で使用している精度の高い分析機器を開発するためには、化学の知識だけはでなく、精密な機械的技術が不可欠なのである。要するに極端に男くさいというのではなく、頼りがいがありその反面、正確で精密な技術を持つ繊細な部分も持ち合わせ、そのバランスがうまくとれていて、技術者としても人間としても理想的な印象を受ける。


目次へ戻る   前のページ   次のページ