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「ROBO CON ’93 スレイプニル」

八戸工業高等専門学校
機械工学科5年  山 端 茂 晴

 今年も、10月10日に一関高専において第6回アイデア対決ロボットコンテスト高専部門東北地区大会が開催された。今年のテーマは「ステップダンス」。ロボコン史上初の階段という障害物が設置された、非常に厳しいテーマであった。そのためか、アイデア募集の際にもあまりパッとしないものや、現実性がないものもあった。その中から我が校のアイデアとして選ばれたのが、「スレイプニル」と「南部ゲンゴロウ」の2つである。「スレイプニル」は、足を上下に動かして階段を登って降りるロボットであり、「南部ゲンゴロウ」は、橋を渡して階段を越え、回転するアームでポールを転がすロボットである。
 私は、経験者ということで「スレイプニル」の製作リーダーとして参加した。夏休みのはじめから製作を開始したが、いきなり足を上下させる機構でつまずいた。平面のカム、円筒カム、ラック&ピニオン、クランクなどの案がでた。いろいろと協議した結果、重量制限などから、ラック&ピニオンを用いることにした。まだ問題があった。電源が、去年のように乾電池ではなく定電圧電源に変わったのだ。そのため、回路を用いて電圧を落とさなければならなくなった。ここから、機械組と電気組の非常に長く、厳しい戦いが始まったのである。
 まず、3本の足を上下させて階段を登り降りするわけだが、階段上でロボットを半回転させることで、登る時と降りるときの足の動きは同じくなることが解り、操作を簡単にすることができた。階段上での半回転は、見せ場の一つでもあった。ここでバランスの問題がでてきた。階段の登り降りの都合上、重心は前方にあった方がよいことは解っていたが、クランクでボールをはじく機構をつける必要があったため取り付けてみると、バランスが悪くて、リフトアップができないという事態に陥ってしまった。そのために、この機構は泣く泣くあきらめたのである。電気回路は、一応はできあがったものの信頼性がなく、いつ壊れてもおかしくないものであった。しかし、何度も動かしたり、改良したりして、徐々に信頼性を上げていった。
 本番前日には各問題点もほぼ解消され、当日の階段の練習では、今までのベストタイムを出すことができるようになった。途中で、かなり致命的なアクシデントがあり、出場さえ危ぶまれるような事態になった。この時は、もうダメかと思ったのだが、一関高専のみなさんに助けていただいたおかげで、万全の状態で大会に臨むことができた。本当に助かった。
 結果的には準決勝で敗退したが、「南部ゲンゴロウ」はめでたく優勝することができた。勝負に負けはしたものの、「スレイプニル」は、他のチームにアイデアで勝った。階段を1段ずつ登ったのは、「スレイプニル」だけだったのである。どこのチームにも負けないと思う。第3位という成績だったが、みんなの心はすがすがしいものであった。


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