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初めてのエコラン

八戸工業高等専門学校
機械工学科5年  山 田 真 二

 私達、八戸高専・自動車工学部は、今年初めて「本田宗一郎杯・ホンダエコノパワー燃費競技全国大会」に参加しました。この大会は通称「エコラン」と呼ばれ、「1Lのガソリンでどれだけ走れるか?」をテーマに”速さ”ではなく”燃費”を競う競技です。省資源で、より環境にやさしい、そんな未来の車のあり方を探る”知的なモータースポーツ”とも言われています。
 私達が、今回「エコラン」に参加した理由はテーマに掲げられている、「1Lのガソリンでどれだけ走れるか?」と言うことに興味を持ったからです。日頃、何気なく使用している自動車の燃費は良いもので20km/Lです。燃料の30%程度しか出力として取り出せていないのです。そこで、自分達でマシンを製作しどれだけ燃費をよくすることができるか試してみたかったのです。また、マシンの製作を通して物を作る楽しさや難しさを実際に肌で感じとることができればいいのではないか、という考えもあったからです。
 私達の今年の第一目標は、”完走”でした。そのため昨年の卒業生が残してくれたマシンをべ一スに、カウルの製作・その他問題点の改良だけに今年は的を絞って活動することにしました。しかし、何もかもが初めてのことで作業はなかなか進みませんでした。カウルの形状・材質・製作方法、前輪軸の強度不足等など問題点一つ解決するのに他のチームの何倍もの時間がかかっていたのではないでしょうか。作業は大会前日までおよび、まともな練習走行もできずに大会を迎えることになってしまいました。
 平成5年9月19日大会当日、自動車工学部全員の期待を背負って私はドライバーとしてコースヘ出ていきました。私の頭の中は、自分達の作ったマシンをゴールヘと走らせることでいっぱいでした。1周約5.5kmのコースを5周、約1時間の長丁場です。走っている最中は、マシンの速度調整で必死でした。そしてゴール。私達、自動車工学部全員の第一目標であった”完走”を果たすことができたのです。そして、燃費も216km/Lと満足のいく結果でした。
 「エコラン」参加のきっかけを作ってくれた佐々木勝先輩、夏休みを返上し夜遅くまで作業してくれた自動車工学部の仲間達、そして顧問の村山和裕先生、引率して下さった武尾文雄先生、そして製作に協力して下さった技官のみなさんに感謝いたします。そして、これからの自動車工学部の活躍を心から期待しています。


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