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海外研修会に参加して

八戸工業大学工学部
機械工学科4年 梅田 淳

 機械学会海外研修会は、毎年関西学生会が企画している行事で毎年行き先が変わるそうです。たいへん好評なために大々的には宣伝していないとのことでした。しかし今年は八戸工業大学機械棟の掲示板に張ってあった案内を見てはじめて知りました。「こんな行事があるんだ、どうせお金持ちが行くものだ。」と、内容も理解しないままでした。
 ある時、前森先生(現神奈川大学)の話を聞いているうちに「これは一生に一度の話だ。行くしかない。」と、決めました。
 今回の基本料金は、約30万円で、11泊12日でした。よく考えてみると、日本−ドイツ間の往復航空運賃分しかないのではないでしょうか?なんとお得なことでしょう。ヨーロッパはもとより海外は初めてで、出発するまではいろいろと不安がありましたが、ひとたび飛行機に乗ると、なるようになれという気持ちになりました。ポルシェ・BMWの工場見学は一生に一度見られるかどうかの所。「見れるものは何でも見てやる。」そのような気持ちで、好きなスキーも今年は控えてバイトに明け暮れた毎日が続いたのでした。
 そんなこんなで行ってきました海外研修会。
 ドイツ・フランス・スイスと廻り、いくつかの会社や大学を見てきました。研修会だけあって、会社訪問と観光が7:3の割合でした。
 まず自動車会社では、ポルシェとBMWの工場に行きました。ポルシェでは、ポルシェ博物館を見学したのですが、歴代の名車がずらりと並び、ファンならずとも楽しく見学できるところでした。次に工場見学では、製品のほとんどが手造りで、内装や幌などは特に丁寧に作られていました。工場内で働いている人と話をすることができたのですが、「俺はシフトノブの革巻きの仕事をしている。ポルシェの車は全て俺のシフトノブを付けているんだ。どんな車のそれよりも俺が造った物が一番いい。」との答えに、いかにもドイツ人のクラフトマンという言葉にふさわしい人だと思いました。何より、一人一人が仕事に対し責任と誇りを持って働いていました。ポルシェは高価な車ですが、あの手間を見る限り決して高いものではないと思いました。
 BMWの会社はほとんどがライン化され、何ら日本の自動車工場と変わらないように思われました。ただ、労働時間が一日9時間で休みが月13日あるそうで、つまり週4日働いて3日休みプラス月一度週3日働いて4日休みというふうに、とにかく休みが多いとのことでした。
 精密機械ではドイツ2日目のカールツァイス社とスイスのSIP社が見学先でした。カールツァイス社は、はじめ眼鏡を作っていたのですが、後に顕微鏡をはじめとする光学機械を手がけ現在の精密機械を作るようになったそうです。工場では多くのガラス研磨機が動いていましたが、やはり、精度のいる仕事は人の手でやるとのことでした。SIP社もカールツァイス社と同じく精密機械を作っており、触針により形状を測定する計測機器等があり、その横にフェラーリF40のエンジンがゴロッと置いてあったのには驚きました。
 ドイツのミュンヘン工科大学は森の中にあり、日本のような大学とは違い、非常に静かな場所で、どちらかというと普通の住宅(と言っても非常に大きい)のような外観を持った建物でした。実験は実際のエンジンを動かすベンチテストが主で、吸排気温度と機関の性能の関係、冷間始動時の吸気加熱による排気の浄化等の研究がなされており、これはポルシェで実用化されているとのことでした。
 観光の方はあまり出来ませんでした。とにかくドイツ人は非常にきれい好きで町に出てもゴミ一つ落ちていません。特に日本みたいに自販機(ヨーロッパはどこでも?)などというものはほとんど見あたらなく、当然空き缶は見たことがなかったです。さらに、分別ゴミの徹底化で国民一人一人のモラルの良さも見ることが出来ました。日本人もこのあたりを大いに学ぶべきところではないでしょうか。
 もう一つドイツ(ヨーロッパ全土?)で気付いたことがありました。それは建物の柱が非常に細いうえに数が日本に比べ少ないように思いました。自分は専門ではないので詳しくはわかりませんが、建設中のビルを見ても、日本であのようなビルをたてると一発で崩れるであろうと言う感じのものばかりでした。ほとんど地震がないと言うことを教えてもらいましたが、万一の場合を考えると非常に危険だと思いました。
 今回の海外研修旅行では、ほかにスイス・フランスにも行ったのですが、北海道の気候に非常によく似ており、その風景もどこかでみたようなものでこれと言って感動を呼ぶものではありませんでした(私が北海道出身であるため?)。しかし、普通の観光旅行ではまず見ることの出来ないところに行くことが出来、こういった機会の貴重さを大切に思いました。
 これから海外に行ってみようと思っている方は、ぜひこの研修会を利用してみてはいかがでしょうか。少しものの考え方が変わるかも知れませんよ。

「強烈な刺激と多くの驚きは人生と世界について深く考えるきっかけとなる」
                       海外研修会資料抜粋


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