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’95エコラン奮闘記

八戸工業高等専門学校
機械工学科3年  葛西 裕平

 95年度のホンダエコノパワー燃費競技大会は、9月15・16日に茨城県のつくば市にある(財)日本自動車研究所<高速周回路>で行われた。僕たちは、八戸高専自動車工学部としてこの大会に参加していた。ちなみにドライバーは僕である。初めてのドライバーでもあったので、できれば晴れて欲しかったのだが、僕はよほど雨に好かれているようで、この時、関東地方には大型台風が接近してきていた。大会一日目、車検は雨に降られたが、練習走行が始まるまでには止み、ドライゴンディションのなか走ることができた。しかし2日目はどしゃ降りの中でのレースになってしまった。僕たちのクラブ内では、「つくばは、八戸と違って暑いんだから半袖半ズボンでも大丈夫。」というのが昨年までの常識だった。だから今年は顧問以下真夏の格好で行ったのだが、あいにくの雨で部員一同ぶるぶるとふるえながらピット作業をするはめになってしまった。
 僕たちは通算すると、3回目の出場になる。初めて出たのは1993年度の大会だった。そのときのマシンは前の年に卒業した先輩の卒業研究で作られたもので、エンジンなどには手をつけずに、フレームにノーマルのカブのエンジンを乗せただけというものであった。このときの結果は、200km/Lを少し越えただけというものだった。2回目の出場だった昨年は、1年目のマシンを改良して出そうとして前のマシンの図面を参考にしながら図面を引きなおしていた。しかしどこでどう間違ったのか、ちぐはぐなマシンができてしまった。ちぐはぐとは、例えば後輪が中心線よりも50oほど左にずれているなどである。さらに、現地ではエンジンに今まで顔を見せた事のないようなトラブルが出てきた。こんなマシンだったから、記録はあまり期待していなかったのだが前のとしに比べて約70q/Lほど伸びていた。そして今年の3年目、目標は400km/Lとしてマシンを作っていった。昨年の教訓を生かしてフレームなどは図面どうりにきっちりと仕上げ、そして今年からエンジンにも手を加える事になった。エンジンの改良は、4連を残してほかのギヤを取り外し、圧縮比をノーマルの10から約17まで上げた。これだけのことだったが、学校の敷地内でおこなった試走では300q/Lくらいはいっていたので、400q/Lはすぐに越えられるだろうと誰もが思いながらつくばへ乗り込んだ。つくばでは前にも書いたように大雨の降る大会だった。
 しかし、なんと今年も昨年とまったく同じトラブルがエンジンに起こってしまった。昨年の大会が終わってから原因を調べてはいたのだが結局わからずじまいだったため、はっきりいって焦ってしまった。その場でいろいろと調べてはみたもののやはり原因などわかるはずもなく、トラブルを抱えたまま走る事になってしまった。前日の走行会では、目標とする400q/Lまでかなり近付いており、このトラブルはとても悔しかった。だが、いつまでもこのことばかり気にしている訳にも行かないので、気分を変えてとりあえず決勝のレースの事に集中するようにした。そしてスタートの時がやってきた。雨はやむ気配もなく、カウルの隙間からはいってる水滴でシートの下のあたりはすぐに「ちゃぷちゃぷ」という音をたてはじめた。居住空間は極端に狭いため、キャノピーはいくら雲り止めを塗っても、ウエスでふいてやってもすぐに曇ってきてしまい、前はほとんど見えないような状態で走らなければならなかった。バックミラーは水滴で見えないわ、エンジンは変な音を出したり回らなくなったりするわと、気が気ではなかったが何とか完走する事ができた。リタイヤの台数も前日に比べてかなり多かった中で完走できた事はうれしかった。記録は400q/Lに及ばなかったので、僕には不満だった。来年は400q/Lを越えたい。


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