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海外研修会に参加して

八戸工業大学工学部
機械工学科3年 愛澤 秀信

 私が参加した関西学生会主催の海外研修会は、1995年3月7日〜19日までの13日間でドイツ・イタリアの2ヶ国を巡るものでした。
 3月7日、12時30分に参加者35名が関西国際空港に集合し、最初の目的地ドイツヘと向かいました。
 ドイツでは、最初に、シュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ社の工場、ポルシェ博物館を見学しました。続くミュンヘンでは、ミュンヘン工科大学を訪間しBMW社の工場見学をしました。
 メルセデス・ベンツの工場では、ドイツ国内から工場に直接車を取りに来て諸手続をして待っている間、自分の車が出来上がる工程を見せるために工場を公開しているとのことでした。私達もその人たちと一緒に塗装工程を除いた全ての工程をバスに乗りながら見学しました。この工場は、現在のところメルセデス・ベンツ社の主要工場となっており、マイスターと呼ばれる職人が丁寧かつ敏速に仕事をこなしていました。このマイスター達が、今日のメルセデス・ベンツ社の地位を守っていることを実感しました。ポルシェの博物館では、ポルシェ歴代の車がズラリと展示されており、ポルシェの歴史を一目で見ることができました。
 ミュンヘンでは、まず最初に、市街地から離れた森の中にたたずむミュンヘン工科大学を訪れました。一見普通の家がと思われた建物の中に入ると、外観からは到底予想できない近代的な研究設備で埋め尽くされていました。ここでは、主に自動車エンジンについて研究されており、特にディーゼル機関に力を入れているとのことでした。
 次の見学先であるBMW社のミュンヘン工場は、本社ビルの真下にありました。ここの工場は、メルセデス・ベンツ社の工場と違って工場全体がオートメーション化されており、工場内にもあまり人が見受けられませんでした。ここでは、広報部の方が私達と一緒に工場の中を歩きながら詳しく説明して下さったのでとても分かり易く見学できました。BMW社の車は、事故発生時の被害が最小限にとどめることの他に、事故によってボディが損傷を受けた場合、即座に修理できるようボディの設計がなされていること、そして環境問題も考慮し、自動車部品の8割がリサイクルできるように作られているということを知り、日本の自動車会社もこういった考えを見習うべきだと思いました。そんなこんなでドイツの滞在期間はあっという間に過ぎてしまいました。他にもいろいろと見たいものがあってドイツを去るのが心残りでしたが、第二の目的地イタリアヘと向かいました。
 イタリアでは、ミラノ、ヴィネツィア、フィレンツェそしてローマを訪れました。イタリアの主な見学先は、ドゥオーモと呼ばれる大聖堂と美術館で、それ以外ではミラノ大学、フェラーリ博物館、イタリア新幹線そしてカトリックの総本山として有名なサン・ピエトロ寺院を見学しました。
 イタリアは、芸術の部とでもゆうべきでしょうか。見るもの全てが芸術品で、それが町中に点在しているから驚きです。町ですれ違う人々は皆、陽気でそれぞれに自分の色を持っていることや、ショーウィンドウにはファションの最先端を感じさせるような服がディスプレイされており、個性豊かなイタリア人を意識せずにはいられませんでした。しかし、町を走る大部分の車は傷だらけ。これは、せっかちなイタリア人の性格を表しているようです。そんなイタリア人によって過去に作られた建物や芸術品は、そこに住む人達によって守られており、そこを訪れる人々を感動させてくれます。
 ミラノでは、ミラノ大聖堂からスカラ座へと通ずるアーケードが印象的でしれヴエネツイァは、ヴェネツィアの存在自体が神秘的で、まるで別世界にいるような感じがしました。フィレンツェでは、早朝にミケランジェロ広場から霧の中にうっすらと見えたフィレンツェの町全体の服が印象的でした。ローマでは、ヴァティカン美術館にある『天地創造』と、『最後の審判』に計り知れない感動を覚えました。
 私違は、日程の都合上、このように各地をかけ足でまわりましたが、それぞれの土地で独自に発展した文化に触れることができ、とても満足できる旅でした。今回の研修会では、事故もなく病人も出ず、また天候にも恵まれた実に楽しい旅でした。
 「ComPass」を読んでいる皆さんも、学生会員の特権を生かして海外研修会に参加してみてはいかがですか。きっと日本にいてはできない貴重な体験ができると思います。


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