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「無計画のすすめ」

鶴岡工業高等専門学校
機械工学科 5年 結城 健児

 私は今年の夏休み、気の合う仲間数人と「無計画の方が楽しい」かもしれない、という暖昧な考えでちょっとした旅行にでかけた。どこに宿泊するのか、また、どのルートを通って行くのかも決めず、ただ行く先だけを決めてそこを目指していた。卒業旅行と題したこの旅行は、当初“宿泊は野宿でも”という現在流行の out door とは程遠いものであった。しかし、今回の旅行はそれなりに楽しかった。時間にとらわれず行きたいときに出発し、行きたい所に立ち寄ったりして、良い思い出をつくることができた。
 計画と時間とが必要とされる現在の工学の分野では、このような考えは無理であろう。しかし、それが故にかえって無計画の行動に対する楽しさと新鮮さを感じさせてくれる。これまでは知らず知らずに計画された時間枠の中で行動させられて学生生活を送ってきたし、これからも計画された環境の中で生活していくであろうと思われる。そこで私は時には無計画で行動することもすすめてみたい。たった1日だけでも良いと思う。時計のない生活を送れば、これまで感じてきたいろいろなこと、例えば、「時間のないあせり」だとか、「余裕」などということに対する考えに、特別な思いが込められていることに気が付くであろう。そして、「1日の無計画な行動」が、逆に時間や計画の必要性を再認識させる機会となるのではないかと思われる。


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