目次へ戻る   前のページ   次のページ


「田舎者の科学」

鶴岡工業高等専門学校 機械工学科
           新舘  剛

 我が研究室では「田舎者」という言葉が流行している。この言葉は一般的に田舎に住んでいる者を指す場合と、相手をバカにする場合に用いられるが、我々は前者の意味として用いている。信じられないくらいクダラナイ語だと思われるかもしれないが、我々はムキになって誰が一番「田舎者」かを討論した。その結果私が一番ということになってしまった。確かに私が住んでいるM町は人口が少なく、交通の便の悪い(駅がない)小さな町で、一面たんぼと山に囲まれている田舎である。夜9時以降外にいるのは冬眠前の熊かローリング族くらいであり、もちろんコンビニなどない。このような環境にいるのだから「田舎者」と呼ばれてもしかたないと半分あきらめている。
 しかし、田舎に住んでいるということでバカにする人がいるが、それについては反論したい。他人の住む環境をバカにするということは電車の中で化粧をしている女子高生に「何か勘違いをしているんじゃない」と言うのと同じくらい? 失礼なこと?・・・。冗談は抜きにして、なぜ田舎はバカにされやすいのだろう。私はその原因の一つとしてテレビやラジオの影響があると考えている。たまに東北地方を紹介する番組があるが、その中では番組をおもしろおかしくするために、決まってたんぼや山ばかりを放送している。「いかにも」というシーンを映したり、聞きとれないくらい「なまっている」人を登場させて笑いを誘ったりしている。そして番組関係者がこれを見てバカにしたような口調でコメントしている。そういった一連の行程が東北すなわち田舎のイメージを悪くしているのではないだろうか。私は都会人と呼ばれている人々の頭の中には『東北⇒田舎者⇒方言』といった「勝利の方程式?」が成り立っているのではないかと考える。実際私が昨年工場実習で埼王の某株式会社にお世話になったとき、社員の人に「山形ってなまりがひどいよな、あんたムリして話ししてない?」と、立場上敬語を使わざるを得なかったというのにそんなことを言われてしまった。「こいつ俺をバカにしてるな」と当時は思ったが、今考えてみるとその人の頭の中には山形→田舎者→方言の方程式があったのだろう。私はこのように思われていることが非常にくやしい。そこで何とかバカにされないような方法はないかと考えてみた。単に田舎の良い所をアピールしても効果は上がらないだろうと考えるので、次の三つのうちどれかにしてみたらどうだろうか。
 政策:@米を売らない A東北地方で独立国家を作る Bドラえもんを呼ぶ
 効果:@人々は農家を神々として崇めるようになる
    A東北人は外国人になる
    B未来の道具を開発して都会化させる
 結論:いずれにしても、これからしぱらくは田舎者と呼ばれ続けるであろう。


目次へ戻る   前のページ   次のページ