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今 思うこと

八戸工業高等専門学校
機械工学科5年  田口 功

 「ただいま機械学会では1997年で100周年を迎え、会員50000名に向かって会員増強キャンペーンを展開中です。御知友に本会への入会をおすすめください」この1文を読み一人でも多くの会員が増えることを祈っています。
 私は5年生ですが、この4月に入会したばかりの新会員です。この原稿によって学生員として機械学会にデビューしました。どうぞよろしくお願いします。私は入会してから学生員として何も参加をしておらず、ほとんど幽霊会員的な存在でした。そこで先生にこの原稿の依頼を受けたときは、別に断る理由も見つからなかったので快く引き受けることにしました。しかし今週は「エンジンの設計書第3報」の締切りだったのです。そのため忙しい週末を過ごす結果となりました。その中で書き上げた力作?ですので是非とも読んで欲しいものです。
 「さあ書くぞ!」と思ったとき、テーマが自由であることが私を苦しめました。巨人−オリックスの日本シリーズ、あるいは衆議院総選挙について・・・そんなことを延々と書いたら「こいつ、ちょっと勘違いしているぞ!」と思われるのは必至です。そこで誠に勝手ではありますが、八戸高専と歩んできた7年間(あれっ5年生ではないか)について好き勝手に書かせてもらうことにします。
 私は入学試験で「なぜ八戸高専機械工学科を受験しましたか」との質問に「野球をやり、甲子園に行きたいです」と答え、試験官をびっくりさせました。入学後、勉強はほとんどやらず、生活信条に「目指せ甲子園!行くぞプロ野球!!」を掲げ、野球ばかりやる日々が続きました。そして3年生の夏、甲子園を目指す若者にとっての最後の夏が終わりました。その1週間後、首の骨を折り、私は手足の自由が奪われました。
 1年半の入院を経て退院することが出来ました。そのとき、私の復学に際して先生方は全面的にバックアップしてくれました。そのおかげで2年間の休学で、もう1度3年生に復学することが出来ました。
 2年半野球ばかりやり、1年半ベットの上で過ごした私の頭の中は空っぽでした。英語はもとより、微分積分なんかは全く頭に中にありません。しかしやらなくてはいけません。私は必死に勉強しました(したつもり?)。すると特に専門教科に面白味が出てきました。物理現象が、数学とコンピューターを用いることによって解けるということは、私にとって驚きの連続であった(少し大げさに書かせてもらいます)。私は「材料力学が大好きで得意教科だ」と声を大にして言いたい。理由を聞かれるといつもは「名前がかっこいい(なんか響きがいいとは思いませんか?個人的にもう一つ破壊力学という響きも大好きです)」と答えるところですが、今回は「講義の明快さにあこがれたためである」と答えます。
 4年生の製図は、はっきり言って死にました。「電動カートの設計」がテーマですが、平均睡眠時間3時間という日々が3ヶ月以上も続き、設計の大変さを痛感しました。そのかいあって、優秀作品(自称)として今年の3年生での総合実習で製作することになりました。私の描いた図面が製品となってできあがっていくのを見ると、こんなうれしいことはありません。
 5年生になり、進路のことについて決めなくてはならなくなりました。そのときも、主任や担任の先生は、9月に行われた機械学会八戸地方講演会のことやらで忙しいにも関わらず、最善の道を探してくれました。今は進路も決まりほっとした日々を過ごしています。
 我が八戸高専は「三陸はるか沖地震」(1ヶ月後の阪神大震災によって東北以外の人はほとんど覚えてないと思いますが)によって校舎の半分が壊れてしまいました。そのため、ただいま校舎の全面建て替えを行っています。今は管理棟と一般講義棟を建てており、9月の地方講演会の時はすごい状態でびっくりされたかと思います。我が機械工学科棟は物質工学科、電気工学科に続き3年後の予定だそうです。
 まとまりのない文章となりましたが、私は今「人間は決して一人ではない」と思うようになりました。どんなときも必ず人の助けを借りて生きているのだと。確かに自分の力で大学に合格し、就職も決めたかもしれません。しかし、その影に必ず誰かの助けがあったことを忘れてはいけないと思います。そしてたくさんの人と接し、たくさんの助け合える友、恩師を持つことは、人生にとって最も貴重な財産だと思います。私は、このようなすぱらしい先生方に出会えたことが、八戸高専機械工学科で得た最も貴重な財産であると思います。
 最後に、入学当初、「CADの予算を申請していて遅くとも5年後には入るだろう」と言われていましたが、7年たった今も導入されていません。東京−仙台−盛岡と北上してきたものが、八戸の上空を通って北海道に抜けないように、文部省の方々、後輩のためによろしくお願いします。


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