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ぺットボトルロケット

宮城工業高等専門学校
機械工学科5年  畑中 和幸

 宮城高専の機械工学科では、高専祭への出展としてM5祭と卒業研究内容の公開をしていたようです。M5祭は、広く世間一般に知られているものでありまして、恒例と言うよりは、伝統的な行事といっても過言ではありません。一方、卒業研究内容の公開につきましては、その内容を学生が理解しきっているか否かは別としまして、おとなしく行われる傾向があるようでして、我々も昨年まで気がつきませんでした。いつからはじまったか分からないこの企画にとうとう参加せねばならない年となりいろいろと思案しておりました。
 思案する間でもなく手早く卒業研究に着手して分かりやすく説明できるようにするのが、当然の事なのですが、このままでは我が校の機械工学科はお好み焼きや、やきそばの調理を得意分野としていると誤解をうけるほど、人々に知られていない活動でしたので、この問題を解決するために新たな企画が必要でした。一般の人々に楽しんで頂ける上に、機械工学科としての活動をほんの少しでも見て頂くために、我々が考えついたのがぺットボトルロケットを飛ばすという大胆な企画でした。けっして我々の卒業研究が円滑に行われていないというわけではなく、また自分たちの楽しみのために思いっいたのではなく、純粋に水や空気の力がどれほどのものか、また未来ある若者たちが、ロケットや機械、そしてそれを取り巻く環境に興味を少しでも持ってくれることを考えた上での計画でした。
 巷では、このロケットを飛ばすことが静かなブームなようでして、書店にこれを取り扱った本があったり、更には玩具屋にペットボトルロケット制作キットなるものが売られていたりと、簡単に済まそうとすれば実に簡単なことでしたが、身近なものだということを知って頂くために必要な材料を集め、書物や既製品に頼ることなく、見たこと聞いたことのみで、完璧とまではいかないものの満足できるものが出来上がりました。そうこうしているうちに、高専祭も近づいてまいりましてロケットの材料となるペットボトルを集めるのにもいろいろと手間がかかりましたが、試作品を作るところまで何とかこぎつけまして、いろいろな失敗作を山のように築き上げて、なんとか人前にだしても恥ずかしくないと思われるようなロケットが出来上がりました。そこにたどり着くまでは、数々の苦労があり、多くの人々に多大な迷惑をかけてしまったりと、長い道のりでした。
 仲間たちの大きな協力によりなんとか高専祭まで間に合いましたが、今回が初めての企画ということもありまして、いささか宣伝不足だったようで、2日間の日程のうち1日目を宣伝とデモンストレーションに費やしたところ、2日目には見にきてくださる方もまばらにいらっしゃいまして、大成功とまではいかなかったものの、満足できた出展だったように思います。欲を言わせて頂けるのでしたら、もっと大々的に、たくさんの人々の前でペットボトルが飛ぶ理由やうまく飛ばす方法などの説明もできたのならわざわざ来て下さった方々の世界も広がったはずだと思いましてその事が口惜しい限りです。
 ちょっとしたきっかけで始まったこの企画も終わってしまうと寂しいものでして今までと一風変わった世界を垣間見れた事と、仲間たちの惜しみない協力と、高専祭当日に我々を楽しませて下さった方々に感謝したいと思います。最後の高専祭にこのような楽しい出来事があったことは、この上ない喜びだったと、そう言えると思います。


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