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機械工学科一年生

委員長校顧問教官
 亀井 秀也

 福島高専の機械工学科はもとより日本機械学会東北支部の多くの仕事をこなしてこられた菅原卓夫先生が平成8年10月に急にお亡くなりになりました.本校にとってはすこぶる惜しい人材をなくし,また機械工学科にとっても非常に痛手となっております.
 かんがみるに,先生は大変お忙しい中で,学会支部の仕事を一生懸命纏めてくださり,その半ばで逝ってしまわれさぞ心残りであったことと推察する次第であります.この紙面を借り,心から哀悼の意を申し上げます.

 福島高専の機械工学には例年40名の学生が一年生として入学してきます.普通高校や工業高校と異なり,5年間一貫教育という長い学生生活を同じキャンパスで送らなければならない.
 彼らにとっても入学時は希望に燃えて,専門である機械工学とはどんな教育をしてくれるのだろうと胸をわくわくさせていたはずです.ところが,その期待に反し授業はほとんど座学で失望の色が次第に濃厚となってくる,数カ月過ぎると,さらに他の高校とたいしてかわらないではないかと疑問が噴き出してくる.そんな嘆きが聞こえてくる.機械工学科の教官として軽く聞き流すわけにも行かず,ハタと考え込んでしまう.
 「鉄は熱いうちに打て」の言葉を思い浮かべ,何をしたら彼らの願望を満たすことができるのかじっくり考えると共に,何気なく話してみた.すると彼らは体を使って「ものづくり」がしたいようであった.
 本校では,学科長が一年生の機械工学基礎という授業を担当している.この時間を座学と「物づくり」という構成で実行してみた.それは扇風機に向かって走るミニミニおもちゃの自動車である.そのために,設計,機構学,実習,流体力学の学習を通して風力を車輪の駆動に伝達するなど機械工学の一部分を知り得たと考えられる.評価はアイデアと走行速度の競い合いというこになる.
その結果彼らにとって,わずかなお金とアイデアと勇気があれば事は解決することを学習し.ある程度の満足感は得られたように思っている.
 終りに,東北支部学生会が益々発展するよう心から願ってやみません.

(福島工業高等専門学校 機械工学科長)



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