目次へ戻る   前のページ   次のページ


'97 World Solar-Car Rallye in Akitaに参加して

福島工業高等専門学校
機械工学科 3年 八嶋 誠律

 World Solar-Car Rallye in Akita とは秋田県大潟村で毎年行われているソーラーカーのレースで、大まかなルールは3日のうちにコースを何周できるかを競うレースである。私の所属しているエネルギー研究会は、そのレースに参加するソーラーカーを作るために結成された愛好会である。
 まず、これから大会に参加するまでの苦労話などを書こうと思うが、まず最初に思い立ったのはソーラーカーそのものの製作である。まずなにに苦労したかというと時間がなかった。作り始めたのはなんと大会開催の約2ヶ月前である。実習工場の先生に「テレビを見てたら他の学校のソーラーカーはもう走ってた。お前らのは完成するのか。」と聞かれ、根拠もなく「大丈夫です。」と答え、結局1ヶ月前になると休日のみならず平日の放課後にも夜中まで作業することになってしまった。こうなると本当につらかった。何しろ前日の疲れと睡眠不足が授業中に襲い掛かってくるのである。猛烈な睡魔に耐えながら(たまに耐えきれなかったが)授業を受け、放課後にはまた夜中まで作業を行いその日の疲れがまた次の日に・・・といった感じである。「次のソーラーカーは時間的に余裕を持って作ろう」と決意するには十分すぎるほどの環境であった。
 さて、どうにか完成したソーラーカーだが片手で数えるほどしか試走をする時間がなかったので、実際に大潟村のコースで走らせてみるといろいろと問題点がわかってきた。まず運転席のキャノピーが大きくて空気抵抗が大きいといった徹夜で何とかなるものから、スプロケットが偏心していたという何ともできないものまであり1日も気が抜けなかった。
 苦労したことばかりを書いたがいいこともあった。ソーラーカー製作中に先生方にもらった差し入れは本当に助かったし、大潟村でのランタンを囲んでの会話(大潟村ではテントで生活した。)も楽しかった。閉会式ではペプシがジュースを無料で配っていた。昨年は「一人二個まで!!」と係員が叫んでいたにもかかわらず三個以上持っていく人がいてすぐに用意されたジュースがなくなったが、今年はとんでもない量のジュースとビールを用意してくれて、いくらもらっても「まだ持ってきな」といわれ、合計100本ぐらいのジュースを手に入れた(昨年は20本くらい)。ひょっとして開き直ったかと思いつつおいしくいただいた。
 レースの結果は1日目7周、2日目7周、3日目8周とバッテリーを温存していたため、天気が悪くバッテリーを使い果たしてしまうチームもいた最終日に周回を延ばすことができた。やっぱり苦労しただけのことはあってゴールしたときはうれしくて仕方なかった。1つのことに一生懸命打ち込むことはどんなことであれいいことだな、と実感できた。
 終わりに、我々のソーラーカーの名前は Sun Shine IWAKI χ(サンシャインいわきカイ:いわきは福島高専のある市の名前、カイはギリシャ文字)であったが、大会のアナウンスでは Sun Shine IWAKI α(アルファ)になっていた。ちょっと悲しかった。


目次へ戻る   前のページ   次のページ