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自動車部のこと・私のこと

八戸工業高等専門学校 機械工学科5年 佐藤 正職

 小さな頃から飛行機やロボットが大好きで、自分にはここしかないと思って機械工学科に入ったものの、やりたいことが見つからない学生生活に物足りなさを感じていたのは1年生の終り頃だった。そんな僕が自動車工学部と出会った。
 独特の雰囲気をもち閉鎖的なものさえ感じる、学内でも少々浮いた存在なのだろう.その怪しさに戸惑いながらも“F1ってかっこいいよね”と何か勘違いした僕が自動車部に入門した。機械の知識はゼロ、どころかマイナス。同じクラスの友人に、あるいは先輩に教えられ、予想よりもはるかにきつい部活に“どこまでもつかなあ”と内心考えながら、毎日毎日部室に通った。しかし部員は皆一生懸命でカッコ良く見える。日頃、煮え切らなさを感じていた僕は彼らのその姿にあこがれた。そのうちにエンジン(スーパーカブのエンジン)に触らせてもらえるようになってきた。見るのも触れるのも初めてのエンジン。ピストンのその異形になぜかひどく感動した。
 そんなこんなで‘98シーズンがスタート。部長?え、僕!?顧問教官と先輩方の思い切った采配で部長となった僕は部員10人と嵐の航海に出た。
 気がつけば6月、設計は…初期(?)段階。航海は難破の可能性も出てきた。我が自動部のエコラン挑戦は今年で7回目。リタイヤは一度もないという記録(?)を更新中だ。重いプレッシャーを感じ、事の重大さにやっと気づく。
 夏が終わると有無を言わさぬスピードで時が過ぎて行き、大会が目前に迫ると連日夜中まで作業した。思うように作動してくれないエコランカーの傍らで凍えながら朝を迎えたことも少なくなかった。
 そうして‘98年度エコラン全国大会に何とか出場できました。会場ではOBの先輩方が激励にみえ、緊張は最高潮に。大会会場でもトラブルが続き、OBならびにドライバーには不安な思いをさせたことでしょう。
 結局、記録は良いはずもなく、完走こそ果たしましたが目標を大きく下回る結果となりました。今年の様子では完走できて幸運だったと言うべきでしょう。僕や他の5年生にはそれぞれに書ききれない程の後悔や反省があると思います。後輩たちにはこんな思いはしてほしくありません。だから僕はまだ引退しません。少なくとも卒業まではね。閉鎖的に感じたこの部活は内に入ると居心地が良すぎるんだね。


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