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E mail from the U.K.

国立福島工業高等専門学校
機械工学科 第5学年 片野 雅之

 去る9月、同級生のある友人がイギリス留学のため渡英した。その友達といくらかの電子メールを交わし、様々なことを考えさせられた。
 某君と自分との交友は、二人が生まれて間もない頃から始まっており、最近ではあまり耳にすることのない“親友”という言葉が当てはまる旧友である。共に福島高専に入学し、学科を別にして第3学年まで学舎を共にしたが、留学という道を歩むべく、第3学年で高専をやめ、ある学校の留学コースを選択し、ひたすら勉学に励んだという。そして、留学のための資格を取り、はれて留学の第一歩を踏み出したのである。
 送られてきたメールには2週間経った近況について述べられていた。行って早々風邪を引いて寝込んでしまったこと、食事が不味いといったことである。しかし、最も驚き、かつ考えさせられたのは、某君が授業やクラスメイトの英語を50%ほども分からないということである。某君は留学コースで英語を1年間学び、相当な英語力を持っていると思う。送られてくる電子メールはすべて英語であり、仮にも実用英語技能検定2級の資格を持っている自分でも、辞書を引きながらでなければ完全に文意を読みとることはできない。最もそれぐらいでなければ留学などできないとは思うが、そんな某君でも native の英語が分からないというのである。某君が言うには、留学生は自分だけではないが、他の留学生は英語に対して自分よりもはるかに親しみがあり、日本人はその点でハンデを背負っているという。
 語学に興味があり、英語だけでも使えるようになりたいと思っていた自分にとっては大きな衝撃だった。そして自分の英語力のなさをしみじみと感じてしまった。工学系の学生ということに限らず、国際化・国際社会といわれる昨今の世界事情を考えるならば、他国の人とコミュニケーションを図るためには最低でも英語が話せなければならないと思っていたが、日本の教育があえて力を入れている英語の分野でさえこの程度のレベルなのでは、日本は果たして本当に先進国といえるのだろうかと考えてしまう。
 先日、アフリカのコンゴ出身の人と会話する機会があった。片言の英語ではあるが、質問をいろいろしてみた。その人は、コンゴの現地の言葉に加え、公用語としてフランス語、英語、そして日本に来て日本語を学んでいるという。実に4カ国語である。それに比べて自分はと思うと何とも情けなくなってしまう。
 某君の経験を通し、改めて真剣に英語を学ばなければいけないと思った。外国に留学して語学を学ぶことはできないが、今の教育課程の中だけでも語学に対してまじめな取り組みをしていきたい。帰国後の某君と英語で会話ができればと願う。
 最後に、忙しい新生活の中でメールを送ってくれた親友に感謝すると共に、イギリスでのキャンパスライフの成功とその活躍を期待したい。


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