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すばらしい町内の坂

東北大学大学院工学研究科

博士前期課程1年  青木 綱芳

 私は仙台にくるまで宇都宮に18年間住んでおり、坂なんてものは陸橋意外ほとんどなかった。ところがここ仙台に越してきて、坂の多さにビックリした。特に今住んでいる町内は坂だらけのところである。そして先日大雪が降った。そのときの私の情けない話を述べたいと思う。
 つい先日仙台で珍しく30センチ近く雪が降った。私は車を乗っているのだが雪があまりにも降っているので、出かけるか悩んだが、まあ平気だろうと軽く考え家を出た。当然一人暮しの学生が雪よけのスコップなどあるはずもなく、一生懸命駐車場の雪をずぶ濡れになりながら蹴って車を出した(この時点で近所の人からすれば滑稽な姿である)。駐車場を出るとまず30m位下り道で、その後20m位登り、大道りに出るのだが、下って登り道にさしかかった時なんと登れなくなってしまった。家からすぐのところでである。何回加速していっても登れなかったため来た道を戻ろうとしたが、その道も登れない。家から歩いても1分もかからないところなのに立ち往生してしまった。そこへ近所のおっちゃんが(もちろん知らないおっちゃん)「加速が足りないんだよ。この位登れないでどうする。かしてみろ。」などと自身満々に現れたが、当然おっちゃんも登れなかった。なぜか怒り口調で「チェーン巻け」と怒鳴られた。雪の降りしきる中「なんで町内で...」とぶつぶつ言いながらチェーンを巻いている横で、さっきのおっちゃんの車も滑っていた。チェーンを巻き、脱出した時点で今後の坂に対し恐怖を覚え、自分のアパートに帰った。へこんで駐車場に帰ってきたところに、アパートの向かいに住んでいる家族のおじいちゃんが雪の中散歩をしていて、「さっきチェーン巻いていたよね。駐車場にはいれなかったの?」と聞かれたので「雪すごいですよね。」と会話にならない答えを残し、逃げるように部屋に帰った。結局チェーンを巻きに町内1周してきただけの結果となった。
 次の日、家を出ようとした時町内の車ほとんどがチェーンを巻いていた。しかし大道りに出たとたんチェーンなどはいている車はほとんど存在しなかった。改めて、この町内の坂道の激しさを実感した。
 坂は多いが仙台は大好きである。親の知人で転勤の多い人が以前「いろいろなところに転勤で住んだことがあるが、仙台がいちばんいい。」と言っていたが、最近私もその人が言っていたことがわかるようになってきた。しかし町内の雪道は2度とごめんである。



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