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寺原に思うこと

福島工業高等専門学校 機械工学科5年 野崎 諭司

 今年、高校生ながら夏の甲子園で154 を出し、さらには日本代表に選出されワールドカップで各国の代表チームと対戦した寺原隼人が、福岡ダイエーホークスにドラフト1位で入団した。

 そのドラフトでは巨人、横浜、中日、ダイエーの4球団が指名し競合した。そこでダイエー・王監督が右手で引き当てた。しかしそのまますんなりと入団が決まったわけではない。寺原が日南学園(宮崎)ということで地元球団のダイエーが意中の球団と思われていたが、実際は違っていた(らしい)。ダイエーと決まったときには、喜びの表情は見られず心境を問われると「何を行っていいのか分からないです。」と明らかに困惑の表情を浮かべていた。じゃあどこなんだというとスポーツ新聞等では、当然推測なのだろうが巨人希望と書かれていた。正直またかと思った。去年も内海がどうしても巨人に入団したいとあってオリックスに1位指名されたが、それを拒否して社会人野球に進んでいる。本当に巨人という球団自体にそれだけの魅力があるのか。

 ここで昔話を一つ。水戸のある高校生が西武にドラフト1位で指名され入団した。しかし西武では芽が出ずに、巨人に移籍。巨人では、ナイスキャラクターとパンチ力でキャッチャーとしてそこそこ活躍し引退。しかし彼にはまだパリーグの某球団からオファーがきていた。「パリーグなら痩せたらDHとしてまだいける」と。しかし彼は「痩せてまで他球団ではやりたくないですよ」と言いやがった。入団時に「契約金は全部母ちゃんにあげます」と言った純粋な少年はどこにいったんだ。少し熱くなってしまったが、本当に巨人は3年、もしくは4年待ってまで行くべき球団なのか。そんな心配をよそに寺原はダイエーに入団したのだが。

 ここで気になってくるのは寺原の実力だが、プロとしてまだプレーしていないとあって未知数なので好き勝手に書かせてもらう。あれだけの速球を投げるのだから高校生離れという評価は当然である。また、高校生で150km/hを出したとあって、どうしても松坂(西武)と比較されてしまう。評論家諸氏からは、変化球が・・・、コントロールが・・・、即戦力としては・・・、だから松坂よりは・・・という評価が多い。私もほぼ同様の見方をしている。しかしこの二人で一番の違いは別なところにある気がする。松坂は特別な何かを持っている。甲子園での春夏連覇、夏の甲子園決勝でのノーヒットノーラン、プロに入ってからも3年連続最多勝、さらにはローズの55号ホームランは松坂からであった。ただ、まだ優勝してないのが気になるが。結局、寺原の実力はどうなのかというと必ず優勝を争うチーム、ダイエーにとっては顔見せや、経験を積ませるということはあっても、戦力として投げさせることは無いと思う。つまり2、3年後にやっと戦力として考えてもらえるという感じになると思う。これが私の見方である。しかしあの速球は魅力である。どうしても100マイルを期待してしまう。



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