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女子学生として

東北学院大学

機械工学科 4年 磯村 聖子

 機械工学科の卒業も迫ってきた現在、大学での一番の話題は卒業研究のことであるが、現段階ではこの場で説明できるほどの結果は得られていないため、せっかくの機会だから約4年間に渡る学校生活を女子学生としての見方で振り返ってみようと思う。

 仙台出身の私にとって、本大学はあまりにも身近なところであり、自宅から通うため環境の変化はなかった。だが、女子高出身の私にとって 工学部で生活することは今までの環境と全く異なるところで生活することとほとんど変わりなかった。工学部だけが他の学部とキャンパスが異なるため、CMに出てくるような明るい笑い声が聞こえてくる花のようなカレッジライフは夢のまた夢で、どこを見ても男しかいないからである。もちろん、このような環境を女子大に通っている友達に話そうものなら ひどく羨ましがられるが、どうやらこの学部の方々は同じ学部内の女には興味がないらしいので、そんな期待は無意味なのである。しかし、人間の順応性とは不思議なもので初めは違和感さえ感じていたものが、1ヶ月もたつと自分が女であることさえ忘れてしまうくらいであった。(周りも特別な目で見ていないためもあったのだろうが…)

 さて、講義を聞き学問に励むのなら、性別は関係ないのだが、違いをはっきり知らされたのが3年次に行われた工場実習であった。私は力もない上に不器用なため、人の何倍も苦労を強いられた。例えば旋盤作業中にバイトを付け替えたくても 自力ではどうにも開かないのである。小槌が手放せなかった実習であった。他には良いことであるのか悪いことであるのか判断できかねるが、人数の少なさから教授や助教授にすぐに顔と名前を一致させてもらえるため、講義中目立ってしまうことくらいが、女子学生の不利なところであるといえようか。本大学では材料、設計・工作、熱、流体、計測・制御という5部門から学科が成り立っているが、制御系ただ一人の女性ということで、セミナーの場でも目立ったのはいうまでもない。

 春は桜が、秋には紅葉が見られる緑豊かなキャンパスはどこの建物に移動するためにも階段を使わなければならない。大学に通っているだけでかなりの運動ができ、痩せられるというのは女子学生にしか分からない嬉しい悲鳴なのである。

 さて、話が思わぬ方向に逸れてしまったが、女子学生の就職はやはり難しく、進学を決めた私には詳細は分からないのであるが、就職にしろ進学にしろ、今後数少ない人数の中でやっていくためには、相当の努力が必要なのであろう。男女の違いを良い意味でも悪い意味でも痛感させられるのは、きっとこれからなのである。



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