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ロボコンという"ものづくり"

一関高専 機械工学科4年 小田洵太

 今年で高専ができて39年目になるそうだ。このことを知ったのは4月の終わり、NHKロボットコンテストのルールブックが我が機械技術部に届いた日である。その39年目をお祝してバースデイパーティーをしよう、というのが今年のロボットコンテスト(以後ロボコン)のコンセプトである。

 さて、この原稿を依頼された時、ロボコン地区大会の2週間前であった。当時4年生で学会員は私一人であり、ほぼ"強制的に"書くこととなった。顧問教官から「どんなネタでもいいよ。」と言われた。この際、ロボコンについてアツく書いてみようと思い、大会が地区、全国と終わり、締め切りの迫る11/29に筆をとっている。

 ここで、今年度のロボコンのルールについて簡単に説明したい。フィールド上に転がっているロウソクをモチーフにした長さ1.5メートル、直径100mmのボイド管と呼ばれる紙製の円筒をどれだけ多く立てることができるかを競うものである。至って単純な競技であるが、この"立てる"作業を機械にやらせようとするのが多少難しいものである。


出場前のマシン(Aチーム)

 私の所属する一関高専・機械技術部は約10年前からロボコン2台ずつ製作、出場している。全国大会において優勝1回、準優勝1回と大きな成績を残している。しかし、ここ数年間1回、2回戦敗退というあまり芳しくない結果で終わっている。今年の大会も2台とも1回戦で会場を去るという残念なもととなってしまった。だが、ロボコンそのものは勝ち負けではないと私は思うのである。半年をかけて作り上げたマシンが自分達の「つくりたい!」と思ったどおりの動きをできたかどうかである。「アイデア対決」と名のつくこのロボコンでは、古今東西のさまざまなコンセプトを持ったマシンが集まる。スピード重視、高得点を狙う、派手なパフォーマンス、ウケ狙い・・・。このいずれもが、本番でマシンがコンセプトどおりに動作したか否かではなかろうか。これは我々ロボコンに参加する者たちの目的ではなかろうか。マシンのアイデアを考え、つくり、動かす。そして目的どおりの、コンセプトどおりのマシンを完成させるまでがロボコンであり、運動部のような勝敗を気にすることはない。ひとつのマシンに対して最後まで手がけることにあり、勝ち負けは後についてくるモノだ。これが私の思うロボコンの目的で"楽しみ"である。


もう一つのマシン(Bチーム)
 
 

 "楽しみ"についてもう一つ。それは他高専との交流である。他チームのマシンに触れる、製作者、考案者と話す。マシンを見せあうなど、共にロボコンを作っているものとして技術、アイデアの意見交換をすることである。この"ふれあい"が何となく楽しい。これは"ものづくり"の基本ではなかろうか。作る、動かすだけでなく、第3者による批評、その年の大会の感想、お互いの苦労話などを交わすのは、我々技術屋の最も大切なことではないだろうか。人と人との付き合いとでも言うのであろうか。物ができても売る相手、評価する相手がいなくては話にならない。職人さんは『物を売るより、人を売る』という。まさにそのとおりである。私はこの"付き合い"というものをロボコンで通じて深く感じることができた。皆さんもそうは思うことはないだろうか?
 私はあと1年間の高専生活とロボコンが残っている。だいたい9月半ばからマシンの製作に徹夜になる日々が続くことがある。この徹夜の日々をもってしてもマシンが動かない時もある。そんな辛い思いがあっても、それを乗り越え見事にマシンを完成させることが、私のロボコンでの"やりがい"である。
 最後に駄文じみてしまったが、この文を書ける場があったことに感謝の意を顧問教官とCompassに捧げる。


機械技術部(2001年ロボコン)



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