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ペットボトルロケット実演に参加して

東北大学大学院 工学研究科

博士前期課程2年  森 裕介

 私たちの研究室では、子供たちに科学の研究を啓蒙するために、科学関係のイベントや地元の小中学校において、ペットボトルロケットの実演をすることがあります。
私も今の研究室に来てから何度か参加しましたので、ここではそのことについてお話したいと思います。

 それではまずペットボトルロケットを知らない人のために原理と作り方を簡単に説明します。

 ペットボトルの中に3分の1ほど水を入れ、逆さまにして口を密閉した状態で中に空気を入れると、水よりも軽い空気は水の上で圧縮されます。その状態で密閉されていた口を開放すると、圧縮されていた空気の圧力によって、中の水が勢いよく吹き出し、その反作用でペットボトル自身が飛んで行きます。これがペットボトルロケットが飛んで行く原理になります。

 このペットボトルロケットを作る際に、ペットボトルに羽と重りを入れた先端を付ける必要があるのですが、これが結構重要になります。例えば、羽の形や角度、重りの重さがほんの少し違うだけで、ペットボトルの飛び方はまるで違ってきます。

 そういうわけで、実際にロケットを作るときには、どういう羽の形が良いんだろうか、とか、角度はこれでいいんだろうか、とかあれこれ考えながらやることになります。

 特に、子供たちに教えるときには、その結果次第で子供たちが一喜一憂するわけですから、責任重大です。自分が教えて作ったロケットがぜんぜん飛ばなかったりすると、子供たちに申し訳ない気がして、本気で落ち込みますし、反対に、自分が教えて作ったロケットがすごく良く飛んで、子供たちが喜んでいる姿を見ると自分のことのように嬉しくなります。

 こうなると、もうプライドなんか関係ありません。他の子が作った、よく飛んだロケットの特徴をまねしたりして、なんとか飛ばしてやろうとこっちも必死です。この瞬間がペットボトルロケット実演の醍醐味だと思います。


 私はこれまで、ペットボトルロケット実演に三度参加しましたが、その中でも、特に印象に残っているのは地元の小学校を訪問したときのことです。十数年ぶりに入った小学校の校舎は、すごく懐かしく感じると同時に、あの頃より身長が伸びた今の自分から見ると、教室を狭く感じたりもしました。また、実演が終わったあと、校長室に案内されてコーヒーを頂きながら校長先生や他の先生方と研究や教育についてお話をしたことも印象に残っています。

 まだ自分が学生であるにも関わらず、先生方と同じ視点にたって話をするというのは奇妙な感じもしましたが、自分が小学生だったときには先生が何を思っているか、などということは考えてもみなかったな、ということを思い起こして新鮮な感じがしました。

 私は普段、研究室の椅子に座ってパソコンの前にいることが多いので、ペットボトルロケット実演を通して色々な人に接することや、研究を通して少しでも実際に社会に貢献しているという実感が持てるということは、気分転換にもなりますし、研究に対する励みにもなります。




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