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卒 業 研 究

鶴岡工業高等専門学校

機械工学科 5年 高橋 光

 卒業研究の担当教官から卒業研究の時間に「ラブレターだぞ」と言われ,紙を渡された.何を言っているのか理解できなかった僕は,とりあえず渡された紙を見た.「コンパスの原稿募集について」と書いてあった.最初はコンパスという物が機械学会学生会の会報であることさえ知らなかった.機械学会には大学に進学するということや,先生からの薦めも有り,入らなければ悪いような雰囲気だったので,(少し言葉は悪いが)何となく入ってしまった.今回の原稿の内容は「自由」,ただでさえ文章を書くのが苦手なのに,内容が自由というのは,何よりも僕を困らせる物であった.ただ,渡された紙の中に「研究内容の紹介」という文字を見つけた.研究の内容というのは,それに関する研究をしている人にしかわからないと思うが,他の事を書くほど文才もないので,研究内容を書かせてもらおう.

 僕の卒業研究の題名は「油膜のせん断挙動の可視化」である.なぜこの研究を選んだかというと,担当の教官から怒られるかもしれないが,「可視化?ただ見えるようにすればいいだけ?」という安易な考えからだった.しかし現実は大きく違った.この研究は,いろいろな理由から去年研究した人がいなかった.よって装置は錆びており,僕の卒業研究はその錆びを落とすことから始まった.研究の内容は,油の中で回転しているローラーに,上からもう一つのローラーをある荷重をかけて接触させる.すると,2つのローラー間に油膜が作られる.ローラーの回転速度を高めると,突然油膜から気泡が発生する.この油膜の厚さと気泡の成長の様子を,ローラーの回転数と荷重を変化させて800倍にて観察していくというものである.ちなみに油膜の厚さは20μm以下である。

 4月に先生から、これまでは100倍で観察したが,今年はもっと倍率を上げて観察する.装置の一部を改良せよと言われた.油膜の厚さが20μmであるということは,ローラーの変心が少しでもあると,油膜厚さが一定にならない.ローラーは旋盤で作るのだが,旋盤は2年生で初めて使い方を習った.その時,教えてくれた先生がとても怖く,うかつな事ができなかった.だから,自分には旋盤で20μmの精度を出すほどの技術がなかった.装置を作るのにかなりの時間を費やした.しかし,工場の技官の方に優しく指導をしてもらい,なんとか実験をすることができる環境が整ってきた.ただ,今考えていることは2月の卒業研究発表までに実験は終わるのか?ということである.実験が終わったとして,他人から見て「適当にやって終わった」と言われないような実験をしたいと思う.また,3月の学生会での発表も予定しているので,良い実験結果が得られることを願っている.

 作文などを書くのは苦手な自分だが,文の内容はともかく,なんとか行を埋められた.あまり載ってほしくはないが・・・.



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